magomeさん、『里山資本主義』の普及活動ありがとうございます。 私はライジングvol.23の感想コメントの後半部分で以下のように書きました。 「こういう事態を防ぐ方法は、これまでよしりん師範が何度となくヒントを出してくださいました。私はこれをライジング・サンを起こすヨシリノミクスと呼んでいます。 まずTPP峻拒と関税強化で一次産業を保護し、農林水産業が生業として有効(坂の下の土地を耕すこと)になれば若者のUターン・Iターンが促進され、新規参入・人口増によって地域共同体と地域経済が活性化すれば駅前商店街も復活し、コミュニティ―バスが走れば過疎地ゆえの車社会からも脱却できます。一次産業や自営業は家族経営なので共働きと子育て・介護が自然に両立でき、地域共同体の高齢者が子供を皆で面倒を看るということも可能となり、この時点で無縁社会は克服されます。また新生活を始める人が増えれば住宅と生活必需品の需要が生まれます。 次に脱原発関連事業への重点的公共投資は国土強靭化より実効性があり、新産業分野の開拓に伴って民間企業の投資と需要が増えれば、従来の輸出企業も国内へ還流投資するでしょう。新エネルギーは都市部より地方で創られるため主に地方で雇用が発生し、こうして地方税収が増えれば共働き支援や子育て支援といった施策に大胆に予算を付けられます。もちろん震災に備えて耐用年数越えのインフラ補修や公共建造物の耐震化といった従来型の公共投資も景気浮揚とは切り離した次元で行う必要があります。 そして愛子様の立太子です。世界中の王室で女王が誕生する潮流の中で、もっとも古い家系である日本の皇室において女帝が誕生することは、日本がこれから世界をリードしていく上で必要不可欠の条件であると思えます。環境問題でも食糧・エネルギー問題でも経済問題でも、神話時代に起源をもつ日本人の伝統の知恵が必要な場面が必ず出てくるはずです。天照復活の象徴としての女性天皇は、日本人の意識・精神を奮い立たせる最後の、そして最大のピースであると思います」 TPP参加が既定路線となってしまった今では、すでに上のような議論が通用しないのは当然です。『里山資本主義』には実はTPPという文字が一回も出てこないのですが、それでも「里山資本主義」には上の議論の足りないピースの幾つかを嵌めてもらえた気がします。 一つは新エネルギーの具体論があるということです。製材業者から出る端材をペレット化して木質バイオマス発電を行うわけすが、それには端材を多く出すほどの木材需要がなければなりません。そこで木材を格子状に組み合わせた集成材(CLT)という鉄筋コンクリートよりも耐震性・耐火性・断熱性に優れた建材の需要を伸ばそうとするわけです。今は建築基準法や消防法が邪魔になっていますが、良いと分かれば需要は伸びるはずです。木を伐りすぎないようにするシステムとして森林資源管理と木材需要とのマッチングを行う森林マイスターという資格の整備を林業先進国オーストリアに倣ってすれば良いでしょう。日本の森林が杉・檜の単一人工林森林であることによる土砂災害に弱いという点についてはいずれ環境問題と絡めて書きたいと思います。地権者は間違っても外資に叩き売ったりせず、いずれ「宝の山」になることを信じて保守していてほしいと思います。TPPの投資分野によって外資が水源林を買う動きも強まってくるので注意ですが。 二つ目はGDPに現われない価値として地域の人々がつながることによる絆・いきがいが重視されている点です。紹介事例では、地域には介護施設に通うような高齢者でも自宅の自家菜園で食べきれないほどの野菜を作っているという方がおり、施設で出す食事の食材を今まで地域外から買っていたものを通所者がつくっている市場に出回らない野菜を使わせてもらうことで安く上げることができ、施設側は経営が助かって「ありがとう」、通所者側は役に立てたことが嬉しいから「ありがとう」と言い合う関係ができていました。野菜などは無料でもらうわけではなく地域通貨で支払われ、これは指定された施設で使うことができ、例えば指定されたレストランで友達とランチするときに使ったりできます。そのレストランは隣に幼稚園があり、お母さんは幼稚園に子供を預けながら隣のレストランで働け、さらに高齢者たちが子供の相手まで喜んでするという「ありがとう」の連鎖が起こっていることが書かれていました。動くおカネ(=所得)が減ってGDPも減り、結果税収も減りますが、地域単位で見た場合出ていくおカネが減れば中央から援助してもらわなくて済みます。中央が地域を切り捨てるのが風潮として定着しているため、これは地域の自衛だと言えます。地域の実情によって異なると思いますが、カネを第一義にしないUターンやIターンなら受け入れる余地はまだまだあると思います。 国内外の企業からの法人税を減税しつつ消費税で庶民から取り立てようとするなら、庶民はカネを介した取引を減らすしかありません。これに気付いた都市住民がどんどん地域にIターンする事態にならないと政府は動かないでしょう。坂の上のさらに上を目指す政権は、カネを介さない心のやり取りまでISD条項を背景に規制かけたり課税したりしかねない奴らです。またIターンを受け入れて活性化した地域に再び大企業(外資を含む)のカネによる統治が侵入しようとしたとき住民がこれを跳ね返せるかどうかも問題であり、TPPが発効していたら難しいかもしれません。ココで中央政府の決断が必要となり、坂の下の土地で生きるという新しい民意に答える政党がいなければなりません。 やはりここから3年が勝負か na85
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magomeさん、『里山資本主義』の普及活動ありがとうございます。
私はライジングvol.23の感想コメントの後半部分で以下のように書きました。
「こういう事態を防ぐ方法は、これまでよしりん師範が何度となくヒントを出してくださいました。私はこれをライジング・サンを起こすヨシリノミクスと呼んでいます。
まずTPP峻拒と関税強化で一次産業を保護し、農林水産業が生業として有効(坂の下の土地を耕すこと)になれば若者のUターン・Iターンが促進され、新規参入・人口増によって地域共同体と地域経済が活性化すれば駅前商店街も復活し、コミュニティ―バスが走れば過疎地ゆえの車社会からも脱却できます。一次産業や自営業は家族経営なので共働きと子育て・介護が自然に両立でき、地域共同体の高齢者が子供を皆で面倒を看るということも可能となり、この時点で無縁社会は克服されます。また新生活を始める人が増えれば住宅と生活必需品の需要が生まれます。
次に脱原発関連事業への重点的公共投資は国土強靭化より実効性があり、新産業分野の開拓に伴って民間企業の投資と需要が増えれば、従来の輸出企業も国内へ還流投資するでしょう。新エネルギーは都市部より地方で創られるため主に地方で雇用が発生し、こうして地方税収が増えれば共働き支援や子育て支援といった施策に大胆に予算を付けられます。もちろん震災に備えて耐用年数越えのインフラ補修や公共建造物の耐震化といった従来型の公共投資も景気浮揚とは切り離した次元で行う必要があります。
そして愛子様の立太子です。世界中の王室で女王が誕生する潮流の中で、もっとも古い家系である日本の皇室において女帝が誕生することは、日本がこれから世界をリードしていく上で必要不可欠の条件であると思えます。環境問題でも食糧・エネルギー問題でも経済問題でも、神話時代に起源をもつ日本人の伝統の知恵が必要な場面が必ず出てくるはずです。天照復活の象徴としての女性天皇は、日本人の意識・精神を奮い立たせる最後の、そして最大のピースであると思います」
TPP参加が既定路線となってしまった今では、すでに上のような議論が通用しないのは当然です。『里山資本主義』には実はTPPという文字が一回も出てこないのですが、それでも「里山資本主義」には上の議論の足りないピースの幾つかを嵌めてもらえた気がします。
一つは新エネルギーの具体論があるということです。製材業者から出る端材をペレット化して木質バイオマス発電を行うわけすが、それには端材を多く出すほどの木材需要がなければなりません。そこで木材を格子状に組み合わせた集成材(CLT)という鉄筋コンクリートよりも耐震性・耐火性・断熱性に優れた建材の需要を伸ばそうとするわけです。今は建築基準法や消防法が邪魔になっていますが、良いと分かれば需要は伸びるはずです。木を伐りすぎないようにするシステムとして森林資源管理と木材需要とのマッチングを行う森林マイスターという資格の整備を林業先進国オーストリアに倣ってすれば良いでしょう。日本の森林が杉・檜の単一人工林森林であることによる土砂災害に弱いという点についてはいずれ環境問題と絡めて書きたいと思います。地権者は間違っても外資に叩き売ったりせず、いずれ「宝の山」になることを信じて保守していてほしいと思います。TPPの投資分野によって外資が水源林を買う動きも強まってくるので注意ですが。
二つ目はGDPに現われない価値として地域の人々がつながることによる絆・いきがいが重視されている点です。紹介事例では、地域には介護施設に通うような高齢者でも自宅の自家菜園で食べきれないほどの野菜を作っているという方がおり、施設で出す食事の食材を今まで地域外から買っていたものを通所者がつくっている市場に出回らない野菜を使わせてもらうことで安く上げることができ、施設側は経営が助かって「ありがとう」、通所者側は役に立てたことが嬉しいから「ありがとう」と言い合う関係ができていました。野菜などは無料でもらうわけではなく地域通貨で支払われ、これは指定された施設で使うことができ、例えば指定されたレストランで友達とランチするときに使ったりできます。そのレストランは隣に幼稚園があり、お母さんは幼稚園に子供を預けながら隣のレストランで働け、さらに高齢者たちが子供の相手まで喜んでするという「ありがとう」の連鎖が起こっていることが書かれていました。動くおカネ(=所得)が減ってGDPも減り、結果税収も減りますが、地域単位で見た場合出ていくおカネが減れば中央から援助してもらわなくて済みます。中央が地域を切り捨てるのが風潮として定着しているため、これは地域の自衛だと言えます。地域の実情によって異なると思いますが、カネを第一義にしないUターンやIターンなら受け入れる余地はまだまだあると思います。
国内外の企業からの法人税を減税しつつ消費税で庶民から取り立てようとするなら、庶民はカネを介した取引を減らすしかありません。これに気付いた都市住民がどんどん地域にIターンする事態にならないと政府は動かないでしょう。坂の上のさらに上を目指す政権は、カネを介さない心のやり取りまでISD条項を背景に規制かけたり課税したりしかねない奴らです。またIターンを受け入れて活性化した地域に再び大企業(外資を含む)のカネによる統治が侵入しようとしたとき住民がこれを跳ね返せるかどうかも問題であり、TPPが発効していたら難しいかもしれません。ココで中央政府の決断が必要となり、坂の下の土地で生きるという新しい民意に答える政党がいなければなりません。
やはりここから3年が勝負か na85