配信お疲れ様です　ある男の黒歴史です

彼は大学三年生の頃、学校で行われる仮装イベントに出演しました。結果は上々で満足のゆくものでした。しかしいざ帰る時になると、重い衣装をもって帰るのが面倒臭くなり、学校のゴミ箱に全部捨ててしまおうと考えたのです。もともとダイソーで100円で買ったものなので、たいした執着はないはずでした。ゴミ箱にかつらを捨て、網タイツを捨て、スカートを捨て、ブラジャーを捨てようと手に握った時、不思議な感覚を覚えました。群青色のブラジャーが鮮やかに、かつ、しっとりと濡れているように見えたそうです。捨てられゆく子犬のような狂おしいほどの愛着がわきあがって来るのに戸惑いつつ、このまま捨てていいものだろうか？持って帰って大事にしてやりたい！と思い始めました。よし、取りあえず持って帰ろう！あくまで取りあえずだからな、と鞄にしまおうと手を引っ込めようとした瞬間、ガリっと音がして、見るとゴミ箱の口にブラ紐が引っかかって、つい手を離してしまいました。はらり、と落ちてゆくブラジャーを見ながらしばらく茫然と立ち尽くしていた彼は、何かを決心した様子で踵を返して歩きだし、二度と後ろを振り返りませんでした…………。

……こんな事があったと友達に聞かせてもらいました。道を踏み外す所だったよ～、危なかった！と彼は言う。しかし私は見逃しませんでした。気持ちよさそうに伸びをするシャツの隙間から、青いブラ紐が顔を出しているのを！



六割五分くらい本当です。