久米 のコメント

配信お疲れ様です。
中学二年生の学級文庫に『はだしのゲン』が置いてあったので全巻読んでました。当時抱いた感想としては、原爆を投下したアメリカに対する生々しい怒りがストレートに表れていて、それがやけに印象に残っています。やっぱりその頃の私はゴー宣も読んでおりませんでしたし、原爆を災害か何かのように感じていたのでしょうね。あと、戦後のどさくさの中、少年少女が身を寄せ合って生きていく様が面白かったように思います。ゴー宣に出会った後も、漫画としての面白さやアメリカに対する怒りといった点もあり、特に私の中で評価は変わりませんでしたね。

週刊新潮でこの件についての記事があったので読んでみましたが、八木さんとか中西さんとかいつもの人たちが、『はだしのゲン』の戦争犯罪に対する事実誤認や反日的な部分のみを取り上げて、「けしからん!」とおっしゃっておりました。元々の論点は残酷描写なのに、そこにはほとんど触れずに便乗するような主張の仕方に首をかしげましたが、それより、「じゃあ、この人達が作った親米教科書はどうなんだ?」と反発を覚えました。少なくともアメリカに関しては『はだしのゲン』の方に深い共感を覚えます。

ある作品を読んだり観たりするのに重要な事は「自分の本来の心にどういう変化が起こって何を思ったか」だと思うんです。それが政治色の強い作品であっても。前号の宇野さんもそうでしたが、教科書を隅から隅まで暗記して、その知識体系に当てはめてでしか作品を解釈できない、というのはある種不幸なものですね。なぜなら作家の魂を通じて、揺れ動く自分の心と向き合わないという事は、自分とは何か、何をして喜び怒る人間なのかという事を考え、知るチャンスをドブに捨てているようなものですから。『戦争論』は戦争賛美でネトウヨを生んだ危険な漫画だ!とか『はだしのゲン』は反日反天皇主義漫画だ!とか言う人は色々な作品に触れてお決まりの評論は出来ても、それを自分の血肉と出来ない、実際は馬耳東風な人たちなのかもしれませんね。

結局この閲覧制限はされなかったようですが、その論理の矛先が小林先生の著作に向かってくる事も考えられ、その時に『はだしのゲン』を守った人たちは同じように『戦争論』も守ってくれるだろうか?と考えてしまいました。まあ、小林先生なら外野の圧力なんか無しでもズバッとやってくれそうですが♪

No.101 136ヶ月前

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