gogotea のコメント

動物病院を開業している獣医師です。

人と同じかそれ以上の高度医療も可能となりましたが、人より早く死ぬことはやはり避けられない。基本的に“生まれてから死ぬまで”の一生を通して見てもらうことになります。開業獣医師としては生まれてから死ぬまでの一生を見守ることは普通のことと思っていたんですけど、人の医療では不可能なことですし、家で命を看取る機会も減りました。

“人も動物も必ず死ぬのだ”ということを再認識すること。今の世の中、当たり前のその現実から目を背けている人間がどれだけ多いことか。コロナ騒動で嫌というほど見せつけられました。“いつか必ず死ぬのだ、それは明日かもしれない”という前提で、飼い主さんにはいつも話をします。

「家族」という言葉の意味も考えさせられます。血が繋がった人間なら家族なのか、同じ共同体で長年共に過ごす間柄は血の繋がり以上の関係性と言えないか、失ったら生きていけないと本気で思う存在はロボットのペットでも家族になりうるのか。血が繋がっていたり、嫁や婿に入ったりすれば親を介護するのが当たり前なのか。

震災や水害で緊急避難が必要となった時、飼い猫と一緒に入れないのなら自分も家で過ごしたいと思う高齢者にとっては呼び名としてはやっぱり“家族”が近いと思うんです。

これは職業柄、人の都合で繁殖をコントロールされている動物に少しくらい味方がいたって良いんじゃないか、という考えに基づくものなんですけどね。

昔動物を飼っていた末期患者さんが動物を前にだけ笑顔を見せる姿には“たかが犬猫”ではないことを教えてもらえます。

愛子さまの作文やこれまでの言動の中で表される動物への愛情。日本人にとってはこれこそがヒトと動物との間の結びつきや仏教的な死生観であるように感じます。

ちなみに欧米では病気が治らないと判明した時に苦しまないうちに「安楽死」を行う率が高く、日本では最後に家での「自然死」を選ぶ率が高い。これも文化や風習の違いを表すように思います。

自然に感じる“情”の部分をすっ飛ばした欧米からの“動物権(アニマルライツ)”は日本人には馴染まない。でもここ数年のジェンダーや性加害の動きを見ているとどうなっていくのか本当に分からない。この嫌な動きがこれから動物や飼い主への視線を冷たいものにしてしまわないかと懸念しています。

No.52 9ヶ月前

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