shiro のコメント

配信お疲れ様です。花粉症の季節が到来してしまいましたね。つらいです。

今回の動物権のお話について考えてみました。

民俗学者の宮本常一に「忘れられた日本人」という著作があります。その中に宮本の祖父である市五郎の話が出てきます。江戸時代から昭和まで生きた古老の、生き物への向き合い方はどのようなものだったのでしょうか。

宮本がまだ小さい頃、井戸の中に子亀を見つけたそうです。こんな狭い所に閉じ込められてかわいそうにと思った彼は、その子亀を拾って飼うために、祖父に頼み井戸から引き揚げてもらいました。さて子亀を家に連れて帰ろうという道中、彼は不意に、棲み処から引き離されて知らないところへ連れていかれる子亀を不憫に思い、泣き出してしまいます。結局、子亀はまた井戸の中へ戻されるのですが、祖父はその時にこう述べたそうです。「亀には亀の世間があるのだから、やっぱりここにおいておくのがよかろう」。

それから何年か経ったある日、隣家の老人が「亀も大分大きくなったで、この中では世間がせまかろう」といって亀を井戸から出してすぐそばの谷川へいれました。その後、亀は数十年に渡り長生きをしたといいます。

No.282 9ヶ月前

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