mantokun のコメント

今回の小林先生の記事を読んで、手塚治虫ファンの私はすぐに「アドルフに告ぐ」のラストを思い出しました。生まれてから今まで一度も戦火に遭ったこともなく、目の前で家族や友人が亡くなった(ましてや殺された)経験もない私にはイスラエルとパレスチナの、人類史が続く限りもはやどうにもならないであろう憎悪と報復の連鎖に、暗澹たる思いになりました。

しかし、併せて大須賀さんのブログで、不祥事を起こすリスクがあり、しかも年を経るにつれ老いて美しさが失せ、いずれは死ぬ(消えてしまう)宿命を持った生身の人間よりも、いつまでも若く美しく、撮影時間も気にせずいくらでも使いまわせるAI生成のヒトガタを重宝するようになりつつある、現代社会のテクノロジーの進化とありようを見て、「報復の連鎖が延々と続くこと自体が彼らのアイデンティティであり、人生となっている。報復の連鎖がなければ、生きていけない」というイスラエルやパレスチナと比べて、一体どちらが人間の命を軽んじているのだろうかと、ふと思ってしまいました。
ジャニーズタレントを手のひらを返して叩きまくった挙句に「生きた人間は何やらかすか分かんないから、最初から不祥事を起こしようがないAIを使っとけばいいんだよ」などと考えるテレビ局や企業に、どれほどご立派なヒューマニズムがあるのでしょうか。

私がイスラエル、パレスチナの虐殺と憎しみの連鎖に暗澹たる思いに駆られるのは、単に戦後の日本で平和に生まれ育ってきたからであって、「人が憎しみ合う場面を想像するのも見るのも辛いし、まして子供が大勢死ぬなんてものすごく悲しい」という手前勝手な感傷でしかないのだなと気付かされました。自分が嫌な気持ちになるからイスラエルとパレスチナには仲良くしてほしいだなんて、彼の地の当事者たちには余計なお世話でしょう。
ましてやそこに周辺諸国の思惑まで絡んでくるのですから、あの地はもう現世にいながらにして修羅道の世界なのだと割り切るしかありません。

修羅道の世界であるイスラエルとパレスチナをどうにかしようと首を突っ込むより、決着の道筋が決まっているウクライナ戦争の早期終結を一日も早く実現するべきですね。

No.32 13ヶ月前

このコメントは以下の記事についています

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

小林よしのりチャンネル

小林よしのりチャンネル

月額
¥550  (税込)
このチャンネルの詳細