<「系」について> うさぎです。あいかわらず「男系」「女系」「双系」の概念について考え続けています。ちょっと、この「系」という語について考えるところがあるので、以下に記させていただきます。 ちまたでは、チャールズ国王の即位のことを「女系」国王の誕生だと報道しているケースがあるようです。また、日本の皇統論では、元正天皇は女帝の元明天皇の子であるから「女系」の天皇であるという主張も、しばしば見受けられます。 しかし、この「系」の使い方、どうも引っかかります。チャールズ国王や元正天皇の場合、そこにあるのは「母子関係」であって、それを「女系」と呼んでいいのでしょうか。 ふつう「系」というと、何か複数のものが一つのまとまりを作っている状態を指します。「山系」といえば二つ以上の山脈が平行して集まっているものを指しますし、「水系」といえば複数の河川からなる、ひとまとまりの水流複合体を指します。 そうしますと、「男系」「女系」「双系」というのも、少なくとも二つ以上の《父子関係》と《母子関係》の組み合わせによって成立しているもの、と考えるのが自然です。 チャールズ国王を「女系」の国王と呼んでしまうと、女系というのは母子関係のみをたどって祖先(開祖・皇祖)にたどりつく血筋(母の母の母の…)のことですから、チャールズ国王は、その母の故・エリザベス二世の、さらにその母の《エリザベス王妃》の方の血筋をさかのぼって王朝創始者にたどりつことになってしまいます。 もちろん、そんなことはないわけで、チャールズ国王はエリザベス二世とは母子関係でつながり、エリザベス二世は父のジョージ6世と父子関係でつながり、ジョージ6世はさらに父の… というふうに、父子関係と母子関係の混合により祖先とつながっているわけですから、正確にはチャールズ国王は「双系」の国王と呼ばなければならないはずです。 同様のことは、元正天皇についても言えるでしょう。女帝元明の子であることをもって元正を「女系」天皇と主張するのは、どうも、そういう不正確な言葉遣いは、気持ちが悪いです。 ウサギでした
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<「系」について>
うさぎです。あいかわらず「男系」「女系」「双系」の概念について考え続けています。ちょっと、この「系」という語について考えるところがあるので、以下に記させていただきます。
ちまたでは、チャールズ国王の即位のことを「女系」国王の誕生だと報道しているケースがあるようです。また、日本の皇統論では、元正天皇は女帝の元明天皇の子であるから「女系」の天皇であるという主張も、しばしば見受けられます。
しかし、この「系」の使い方、どうも引っかかります。チャールズ国王や元正天皇の場合、そこにあるのは「母子関係」であって、それを「女系」と呼んでいいのでしょうか。
ふつう「系」というと、何か複数のものが一つのまとまりを作っている状態を指します。「山系」といえば二つ以上の山脈が平行して集まっているものを指しますし、「水系」といえば複数の河川からなる、ひとまとまりの水流複合体を指します。
そうしますと、「男系」「女系」「双系」というのも、少なくとも二つ以上の《父子関係》と《母子関係》の組み合わせによって成立しているもの、と考えるのが自然です。
チャールズ国王を「女系」の国王と呼んでしまうと、女系というのは母子関係のみをたどって祖先(開祖・皇祖)にたどりつく血筋(母の母の母の…)のことですから、チャールズ国王は、その母の故・エリザベス二世の、さらにその母の《エリザベス王妃》の方の血筋をさかのぼって王朝創始者にたどりつことになってしまいます。
もちろん、そんなことはないわけで、チャールズ国王はエリザベス二世とは母子関係でつながり、エリザベス二世は父のジョージ6世と父子関係でつながり、ジョージ6世はさらに父の… というふうに、父子関係と母子関係の混合により祖先とつながっているわけですから、正確にはチャールズ国王は「双系」の国王と呼ばなければならないはずです。
同様のことは、元正天皇についても言えるでしょう。女帝元明の子であることをもって元正を「女系」天皇と主張するのは、どうも、そういう不正確な言葉遣いは、気持ちが悪いです。
ウサギでした