Kaji のコメント

 岡田尊司『マインド・コントロール』(2016文春新書)を読み返していて「これは」と思ったくだりがありましたのでご紹介します。ちょっと長くなるのをお許しください。

 アメリカの精神科医ロバート・J・リフトン『思想改造と全体主義の心理学』(1961)中の記載で、中国の強制収容所で思想改造された40人を分析したリフトンが上げた、思想改造を進める上で重要な8要素を紹介しています(P.184)。それによれば
1)環境コントロール:外部からの情報や人物との接触を遮断。唯一絶対の政治的ドグマだけが真実とされる。
2)神秘的操作:指導者はある種の神秘性を帯び、その源泉は高い目的を成し遂げるという信念に由来する。
3)純粋さの要求:世界は絶対的善と絶対的悪のどちらかしかなく、不純性を自ら批判することで洗脳が進む。
4)告白熱:仲間同士で自己批判をすることが純化を加速させ、仲間での連帯感を高める。
5)聖なる科学としての理念:宗教と同時に科学でもある「聖なる科学」への疑いは神への疑いと同罪とされる。
6)教条主義的な決まり文句の使用:善=解放、人民、プロレタリア的見地/悪=資本家、ブルジョア、帝国主義
7)理念が個人よりも高く位置づけられる:理念は絶対的であり、個人の経験や人生よりも優先される。
8)生存の免除:世界は存在を許された者とそれ以外の者しかいない。理念に一致しない者は処刑。

これを現在のコロナ脳に当てはめると
1)ステイホームによって他人との接触を遮断することで、唯一絶対「コロナ怖いドグマ」のテレビ視聴を強要し
2)(神秘性は別として)政治家や専門家は「ゼロコロナ」という実現不可能で高邁な信念を掲げ、
3)世界は「自粛に従う高齢者という絶対善」と「遊び回る若者という絶対悪」しかおらず、
4)自己中心的だから自己批判だけは行ってはいないけれど、
5)PCR検査という「聖なる科学」に対して疑いを持たず、
6)善=検査、マスク、ステイホーム、ワクチン/悪=経済、気の緩み、自粛破りの教条主義的な決まり文句で、
7)個人の経験や人生の楽しみよりも「ゼロコロナ」という実現不可能な理念が優先され、
8)ウィズコロナを唱える者については、その異論や存在を許さない。
となります。こうしてみると当てはまらないのは4)くらいなもので、国民の思想改造はほぼ完了しているように思われます。
 更に著書では、洗脳には感覚遮断と過剰な情報刺激が有効とされており、「孤独に暮らすことが当たり前となり、同時に、メディアからの大量の情報に日夜さらされている現代人は、感覚遮断と情報過負荷という両方の危険に直面していると言える」(P.193)と警鐘を鳴らしています。
 そしてデプログラミング(脱洗脳)については、基本的には「対決」が中心となるが、同時にそれは危険を伴うことでもあり万能ではない旨が書かれています。結局は本人の依存と自立の問題であるからです。

 これらのことを照らし合わせると、専門家会議に必要とされる人材は感染症のことも知らないエセ医者ではなく、精神科医ということになりますね。
 長文失礼しました!

No.131 36ヶ月前

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