希蝶 のコメント

 今号も配信、有り難うございます。今回は道場があるので、はやめに感想を記します。

 ゴーマニズム宣言・第408回「森喜朗の失言」
 結局、森元首相は辞任してしまいましたが、こうなってしまうと何だか気の毒です。本当に、老人のたわごとで終わらせてあげれば良かったのに。後任ももめているようで、何だかばかばかしいです。

 それよりも、「それは『公』のための怒りなのか? 単なる『私憤』で、『八つ当たり』や『憂さ晴らし』なのではないか?」という箇所で考えてしまいました。
 前回のコメント欄>>304で記した、自分の元カウンセラーへの怒りがどのようなものだったのか、ということを。

 ありていに申します。自分がカウンセラーに言ったことは、今回のQ&Aにもあった、「巧言令色鮮きかな仁」の話と同じです。そのカウンセラーに、今の状態がどれだけおかしいか、仕事よりも自分のいのちに執着する有様がいかに滑稽か、分かって欲しかった、というのもあるんです(質問をされたかた、比べてすみません)。
 だから敢えて、悪口を言うような、脅迫をするような、そういう言動をしたのではないか、とも思います。あるいは、ただの私情だったのかも。
 しかし、相手は自分の精神的な幼さの方を診て、こばかにするような、逆にさとすような反応しか返してこなかった、そんなところでしょう。こういう時、人はその意見を述べる人間の人格の方を見て、判断するものなのだ、意見や思想や判断力の是か非かよりも、人間性の方が上位に立ち、総合して判断されてしまうのだ、と思います。羊番の少年が本当のことを言っても、誰も耳を傾けてくれない心理とよく似ているのではないのでしょうか?

 確かに今、同じ状況だったら、電話カウンセリングでもやむを得ない、相手がびびってしまっているのだから、それを勘定に入れてもっと妥協すべきだったのでしょう。しかし、「カウンセリングはボランティアだ」発言まで出てしまっては、何のために毎月お金を支払っているのか、電話だと、こちらがかける料金の問題もあるのに、と言いたくもなるものです。これもいいわけになるのでしょうが。

 今回のQ&Aに90歳の武道家の話もありましたが、一度恐怖にとらわれてしまうと、それをみづから払拭したり、相手からの忠言を受け入れる餘裕はなくなるのかな、と思います。自分だったら、その武道家に武道を教授してもらうこと自体を無駄だと判断しますが、とどのつまりは、人間の偏見や思い込みは根深いものなのだろう、説得しても意味がない相手にはそれ以上の労力を用いても無駄なだけだ、今恐怖している人はそのままにして、分かってくれる人から話してゆくしかない、そこから理解の輪をひろげるしかない、とも思います。相手からは、(自分が日頃意識していない)こちらの人格の問題や人生経験の差も見られてしまうのだから、自分の出来うる行動をするしかない、ということです。自分の親も90歳で、コロナ恐怖症に陥ってしまい、いくら経済や総合知の問題を語っても「よく分からない」となってしまい、「お前も無関心派なんだな」で終わってしまうのだから。

 森喜朗氏の場合も言わせるだけ言わせておけばいい、すべて無視すればよい、とも思ったのですが、それはやはり無理だったのでしょう。やはり自分のことを述べるのですが、「職場環境が悪くなる」と先輩方から言われてしまったら、それに抵抗すればするほど、人間関係が滅茶苦茶になり、結果、その職場から去らなければならなくなるのでしょう。自分の場合は、身から出た錆ですが、誰かに好きという思いを(不用意に)告げることがそんな意味を持つとは気づかなかった、という辯解をします。それでも「分からなかった」ではすまされないものだったのでしょう。ただ、以来、この種の「全体にとってよくない」という趣旨の言葉には、何か胡散臭いものを感じるようにもなりました。

 以上、話があちこちに飛びましたが、相手の意見に非があったら、それを訂正し、この点であやまちがあると(具体的に事例をあげて)指摘すればよいだけで(ただ、「お前は変わっている」とか「とにかくおかしい」、「こいつを見てれば分かる」では駄目です。ただの私的な感情論でしょう)、それで相手が反省しなかったら、さらに分かりやすく説明すればよい、それでも意志を曲げぬようなら、それはほうっておくのが一番だ、集団リンチをするのは、逆に加害者になるだけだ、と思います。

 こんな感じです。Q&Aで引き合いに出してしまったかたがたへ、すみませんでした。

No.128 39ヶ月前

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