https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3578 インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度 高橋和郎 氏(大阪府立公衆衛生研究所副所長・感染症部長)より抜粋 診断は咽頭スワブからのウイルス分離と特異中和抗体価の有意な上昇で判断している。この場合,中和抗体を持たない被験者を対象にすると,被験者の半数で感染が成立する吸入ウイルス量(50%human infectious dose:HID50)は,免疫のない人で,わずか0.6~3.0TCID50(約0.4~2.0TCID50,約0.4~2.0個の感染性ウイルスに相当する)と非常に少量であるとの報告(文献7)がある。 これに対して,鼻腔内滴下による感染の成立に必要なウイルス量(HID50)は127~320TCID50と約100倍(文献4)あるいはそれ以上のウイルス量が必要であるという。この理由としては,粒子サイズの小さなエアロゾルの多くは吸入後直接,気管以下の下気道に付着し,これは免疫状態にもよるが,ウイルスが比較的増殖しやすい環境であることが考えられる。一方,大きな飛沫は上気道で捕獲され,下気道まで達することができない。つまり,上気道における解剖生理学的な防御機構が働くため,感染成立にはより多くのウイルス量が必要となることが考えられる。
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小林よしのりチャンネル
(ID:19522841)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3578
インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度
高橋和郎 氏(大阪府立公衆衛生研究所副所長・感染症部長)より抜粋
診断は咽頭スワブからのウイルス分離と特異中和抗体価の有意な上昇で判断している。この場合,中和抗体を持たない被験者を対象にすると,被験者の半数で感染が成立する吸入ウイルス量(50%human infectious dose:HID50)は,免疫のない人で,わずか0.6~3.0TCID50(約0.4~2.0TCID50,約0.4~2.0個の感染性ウイルスに相当する)と非常に少量であるとの報告(文献7)がある。
これに対して,鼻腔内滴下による感染の成立に必要なウイルス量(HID50)は127~320TCID50と約100倍(文献4)あるいはそれ以上のウイルス量が必要であるという。この理由としては,粒子サイズの小さなエアロゾルの多くは吸入後直接,気管以下の下気道に付着し,これは免疫状態にもよるが,ウイルスが比較的増殖しやすい環境であることが考えられる。一方,大きな飛沫は上気道で捕獲され,下気道まで達することができない。つまり,上気道における解剖生理学的な防御機構が働くため,感染成立にはより多くのウイルス量が必要となることが考えられる。