希蝶 のコメント

 もう少し記しておきます。コロナの話ばかりするのも飽き飽きしてきているので。

 アラジンと魔法のランプですが、確かに自分がよんだ本でも、「むかし、シナの都のなかに仕立屋を渡世とする、ひとりの男が済んでいました。この男はまたひどい貧乏人で、アラジンと呼ぶ息子がひとりおりました」と始まっております。ただ恐らく千夜一夜物語を書いた人(あるいは人たち)は、ハルーン・アッラシードとか、イスラムのカリフのことは知っていても、支那、すなわち中国のことは知らなかっただろうと思います。アラジンという名前に漢字が当てはまらないし、指輪はともかく、ランプの精という発想が中国風ではないです。モロッコ人やマグレブ人が出てくるのも。
 
 アラビアン・ナイトではシェヘラザードとかいう大臣の娘が、女性不信に陥った国王が新婚初夜に花嫁の首を切る風習を辞めさせようと、妹同伴で国王に輿入れし、妹にせがまれるままに話をして、話の途中で夜明けになって中断し、横で話を聞いていた国王をやきもきさせる、という手段で自身のいのちを長らえるように仕向けます。そのため、一つの物語が何夜にも渡って語られ、また一夜に2つの物語のそれぞれラストと発端が語られたりしているわけです(さらに言えば一つの物語の登場人物が、別の挿話を「入れ子形式」で語ったりもしています)。。
 アラジンも、アリババも、その形式に当てはまっておらず、後世の人が無理矢理に千夜一夜の中に混ぜ込んだものだと言われています(ちなみに「シンドバット」はその形式になっており、536夜の途中から566夜の途中までになっています)。元々、千夜一夜物語は1001の夜の話ではなく、もっと短い夜数の話だったのが、増補され、千一夜分に膨れ上がり、シェヘラザードのその後まで描かれるようになったのだそうです。
 なお、エドガー・アラン・ポーの千夜一夜物語に因んだ短篇に、シェへラザード千二夜目の物語、とかいうのがあったはずです。一往、紹介しておきます。

 モーニングショーで、得体の知れないと称するただの風邪の話をするよりも、こういう話をすればいいのに、と願います。続きが気になるように、話のクライマックスでまた明日、みたいな感じで。そうしたら、もっと楽しいものになるでしょうに。

No.34 52ヶ月前

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