shiro のコメント

数学者の岡潔が書いた「春宵十話」を読んでいます。思えば、今年は慌ただしく、春を愉しむことができなかった。岡は、人の中心は情緒である、と説きます。数学者と言えば、われわれはガチガチの論理家だと思いがちですが、どうやらそうではないらしい。

彼は情緒には民族の違いによって色々な色調があり、それは春の野にさまざまな色どりの草花があるようなものだと述べます。日本から四季の豊かさが失われることを、彼は憂慮していた。情緒の中心の調和が損なわれると人の心は腐敗する。社会も文化もあっという間に悪くなる。それは、数学で計算して証明したわけじゃないんです。計算も論理もない数学がしたい、そう述べた彼を学友は嗤いました。が、彼は「計算や論理は妄知」と退けています。大事なのはどこまでいっても情緒、感覚なんですね。

で、私は関係ない話をしたわけではなく、およそこの物事の理非弁別をするのに必要な情緒、感性といったものが小林先生にはあるらしい。別に持ち上げようというわけではありませんが、直観的に理系の専門家が言っていることがおかしいと断じられるのは、岡と同様に情緒から物事を見ているからでしょう。私なぞはまだ未熟なもので、また文系特有のコンプレックスもあり、理系の偉い学者が言うならそうなんだろうな、と思ってしまいがちですが、学問というのはそんな浅いものではないのでしょう。

No.116 47ヶ月前

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