M.O のコメント

今週も配信ありがとうございます。
マスコミの罪は非常に大きいですが、そこで感じるのは一部の医師や学者を「権威」として祭り上げる「権威主義」の問題です。
『モーニングショー』は全く見ていないのですが、岡田晴恵はネットでは「コロナの女王」なる異名で呼ばれているし、渋谷健司については「WHO事務局長上級顧問」という肩書きが物を言っているような感じで、発言に合理的根拠の有無以前に「この人が言うのだから」という偽りの信憑性がまかり通っているように思います。

そしてもうお一方が山中伸弥教授。
iPS細胞の研究としては素晴らしい業績を果たした方であり、先の2人に比べればはるかに論理的で理性的な学者だと思うのですが、残念ながらこのコロナパニックに際してはえらく情動的になってしまったようです。
コロナ関連の様々な情報のプルーフチェックをして個人のHPに掲載するのは良いのですが、だんだんメッセージ性が強くなってきてしまいました。
独自で考えた感染対策を「5つの提言」としてまとめたり、「研究所所長から所員に当てたメッセージ」を公表したり……いやあの、感染症の専門家ではないですよね? 元々は外科医を志しておられた方でしたよね?

私が当初、山中教授のサイトを信頼していたのは、デマ拡散を防ぐためにプルーフチェックの必要性を感じたという趣旨に同意できたからです。
だからこのサイトに求めていたのはあくまで「情報」のみでしたが、そこに「メッセージ」が加わってしまいました。
ならば情報収集や分析にバイアスがかかる可能性があるため、サイトの信頼性が著しく損なわれてしまいます。
当初の趣旨から逸脱していることに気付かず、専門外の分野において「提言」を出してしまうという態度は支持できません。
もっとも山中教授がサイトを立ち上げることになった直接のきっかけは、センバツ中止で涙を飲んだ高校球児たちの姿を見て、「彼らは高齢者の命を救うために自分たちの夢を諦めたのだ」という感傷的な思いを抱いた(このメッセージもサイトにアップされた)からということなので、元よりメッセージ性の方にバイアスがかかっていたのかもしれません。
ただ、何しろノーベル賞受賞者ですから、メディアが放っとかない。
「5つの提言」は毎日新聞にも掲載されました。
これまた合理的根拠よりも「こんなスゴい人が言った」という権威主義の方が優先されてしまう状況です。
山中教授、これまでのメディア出演を拝見した限りでは、すごく誠実でいい人という印象なのですが、そういう人であればあるほど「情動」や「感傷」の穴にはまってしまうと自分では気付かなくなってしまうのかなと思いました。
我々としては、肩書きに惑わされることなく、冷静に情報を見極めていく必要性を感じました。

No.63 49ヶ月前

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