JNR HIROSHIMA のコメント

今回はブログ(https://www.gosen-dojo.com/blog/26123/)(https://www.gosen-dojo.com/blog/26136/)と今回の木村さんの動画について感想です。
リンク先のWebサイトも一緒にご覧頂き、議論を深められたらと思います。

1.「戦時中でも自粛はなかった!」に関する見解
厳しい見方ですが、「戦時中でも自粛はなかった」という点は正しくないと私は考えています。
何らかの形で様々な「制限」・「自粛」は戦時中確実にあったと考えたほうが正しいでしょう。

例えば、当時の国鉄ではこんなことがありました。
http://www.seiryo-u.ac.jp/u/education/gakkai/j_ronsyu_pdf/no41/41_01-12_ueda.pdf
の5ページ目をご覧ください。
戦時中、国鉄は乗車券の発売制限や運賃値上げなどを組み合わせることにより、
不要不急の旅行を抑制しようとした動きがありました。
石炭や鉄鋼などを輸送するため、貨物列車の輸送力を強化したいという意図もあったようです。
現代で当てはめれば、JRや航空会社やバス会社がコロナ対策で「運賃値上げ」ということになります。
(リンク先 4-5ページ目参照)

https://koka.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=123&item_no=1&page_id=41&block_id=123
リンク先PDFもご覧ください。
旅行雑誌「旅」において、大政翼賛会国民生活指導部長が「不道徳、不健全、個人主義的旅客を「旅」の欠格者として一切、汽車の切符を売らぬことにしたらどうか。」
とコメントしております。(リンク先PDF 53ページ目参照)
旅行雑誌において「旅行のためのきっぷを売るな!」と書いてあるわけです。
このようなことが旅行雑誌に書かれていたら、現実問題として戦時中でも現代でも旅行は大方自粛という判断になってしまいます。

2.10万円給付について
今回の10万円給付は、先生の主張と一致しない部分がありますが、「極めて合理的」な判断です。
1世帯アベノマスク2つ配布と比べたら決してナンセンスではありません。
以下のような理由だけでも「合理的」と判断できます。

2-1. 全国的な往来減少
例えば、先月ゴー宣道場を開催した岡山ではこんな状況になっています。
特に観光関連業界や運輸業界は大ダメージです。

2-2. 山陽新幹線
4月6-7日は25%、8-10日は15%、4月11-12日で9%です(いずれも前年同曜比・速報値)。
ビジネスや観光での往来が極端に減少していることが読み取れるでしょう。
JR西日本の鉄道事業の運輸収入は約半分が山陽・北陸新幹線です。
JR西の長谷川社長は「会社発足以来の最大の危機」と会見でコメントしていますので、
他の超大手の鉄道会社であっても極めて厳しい状況になるでしょう。
※参考・JR西日本
https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/04/page_16005.html
https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/04/page_15994.html
https://www.westjr.co.jp/company/ir/individual/income/

2-3. バス
岡山で最大手のバス会社である両備ホールディングスでは、
「4月から9月の半年で、生活交通事業が前年比16億円の減収で収入28億円、経常損失12億円に転落する」
という試算を示しています。
同社の高速バスでは大幅な減便が行われておりますが、減便しても人件費などの固定費は発生してしまいます。
コロナ対策の補助金や減税などを同社は求めています。
県内最大手「両備」がコロナに関してここまで言及するのは、相当な危機感の表れと言っていいでしょう。
※参考・両備HD
https://ryobi.gr.jp/message/5665/

2-4. 岡山桃太郎空港
既に国内線は3月からJAL/ANA羽田線で減便、ANAにおいては座席数の少ない機材への変更が行われていますが、
更にANA札幌線(1日1往復)は4月1日から、JTA(JAL子会社)沖縄線(1日1往復)は4月20日(29日は運航)から欠航となります。
今月20日から岡山空港「全体」で「JAL羽田線1日1往復」(所定はJAL/ANAで合計1日10往復)だけとなる異常事態になります。
なお、減便の影響で空港内のテナントは売上が2月時点で前年比4割減となり、
「このままではあと1・2カ月で店を畳まないといけない」という見解を示されている空港内の飲食店の方もいます。
なお、岡山発着国際線は全便欠航です。
※参考・岡山桃太郎空港/山陽新聞
https://www.okayama-airport.org/topics/17592
https://www.okayama-airport.org/topics/17588
https://www.sanyonews.jp/article/995033
https://www.sanyonews.jp/article/993852
https://www.sanyonews.jp/article/993864

2-5. 倉敷市内の観光関連業界の状況
道場の際に小林先生も観光された倉敷ですが、宿泊施設でのキャンセルが2万件以上に達しました。
岡山県内においても外国人は増えていますが、実は倉敷でのキャンセルの約9割は国内客です。
観光関連業者の売上も2月の時点で前年比2割減が半数以上です。3月はさらに悪化しているようです。
https://www.sanyonews.jp/article/1001469

岡山だけで見ても観光関連業界や運輸業界(+周辺業界)は多大な影響が出ております。
特にこれらの業界の従事者には、今後収入減のリスクが大きく付きまといます。
平時において一定以上収入があっても、一時的に困ってしまう人はこのままだと続出するでしょう。
生計を維持していくという面では、一律10万円は極めて合理的です。
1回10万円で不十分であれば、今後更に給付することや消費税率引き下げも選択肢でしょう。

3. 医療従事者の視点で「10万円」を見れば…
医療従事者の視点で見れば、必ずしも十分とは言い難い面があるかもしれませんが、
一律10万円で実質的な待遇改善の効果は確実にあるでしょう。
少なくとも全く出さないよりは正しい判断と言えます。
ただし、「10万円支給で足りない部分」は今後速やかに検討していく余地が十分あるでしょう。
※日本看護協会からもコロナに関する「危険手当」要望あり
https://www.nurse.or.jp/up_pdf/20200415161006_f.pdf

4. 今後どのようにすればいいのか
コロナウイルスを完全になくすことはできません。
感染者数を抑えられても、その間に企業が経営破綻してしまっては意味がありません。
(特に観光関連業界や運輸業界に対しては、破綻させないような支援が必要です。)
コロナで経営破綻する会社が今以上に増えれば、コロナ感染による死者を抑えられたとしても、
「コロナ関連死」(自殺者、コロナ以外の病気など)が著しく増えてしまう可能性は高いでしょう。
「コロナ関連死」が増えてしまっては自粛する意味がありません。

10万円を「何回も延々と配り続ける」のも、ひたすら「自粛を延々と続ける」のも全て非現実的です。
自粛が終わるタイミングまでに、消費税をゼロにして思い切って経済を回し、後で所得税や法人税として個人や企業から「無理なく」回収することを狙うような対応も必要です。
「自粛一辺倒」ではなく、「経済活動と両立しながら集団免疫を獲得」していく道へ転換する必要性はいずれ出てくるでしょう。
ここは先生の「緩和政策」と一致する部分です。
「感染者数の少ない地域間」「医療崩壊リスクが少ない地域間」だけでも「積極的に経済を回す」ところから必要かもしれません。

少なくとも、近いうちに「感染者数の少ない(or無い)地域相互間」に限り、
「往来しても問題ない」「自粛しなくても良い」という判断が今後出てくると予想しています。
(今後はそうすべきでしょう)

長文失礼いたしました。

No.234 48ヶ月前

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