木蘭先生の記事を拝読しました。 『ゴー宣道場』で言及されていた数々の統計をあらためて見ると、フェミニストが主張しているよりもはるかに複雑な事情が背後に隠されていることに気付かされます。 今、NHKで『伝説のお母さん』という連続ドラマが放映されているのですが、仕事と育児にまつわる日本社会の様々な矛盾を『ドラゴンクエスト』などのファンタジックなRPGの世界に置き換えて戯画化した内容で、やはり働く女性に圧倒的な支持を受けているそうです。 男性側の無理解や意識の低さが批判的に描かれる部分も多いのですが、それら含め根本的な原因が「男女共に空気に支配されているため」であり、魔王が何もせずとも人間らが勝手に自滅の道を進んでしまう、というシニカルな描写にはうなるしかありませんでした。 一方、記事の中の 「「働き方改革」「ワークライフバランス」のような言葉は耳障りは良いが、産休・育休・保育施設完備など女性の働きやすさに現状完全に対応していけるのは、一部の大企業だけ。日本の99.7%は中小零細企業なのである」 という文章も大きな問題提起だと思います。 報道番組などでは、こうした福利厚生に積極的に取り組む企業が紹介されていたりしますが、それはそれで良いとしても、そうした対応など覚束ない職場で働く大多数の女性の実状があまり伝えられていないのは非常に気になるところです。 新型コロナ騒動においても、厚労省が「テレワーク導入」を推奨したことで、それを実践している企業を取材したりしていますが、多くの視聴者は 「んなもん、ウチで出来るわけねーわ」 とシラケきって見ていたのが本当のところでしょう。 一部の大企業や新進企業といった「好調なグループ」の取り組みだけ取り上げたった意味がない。 それが出来ないマジョリティの実状も伝えないと、「だったら、どうする?」という議論の起点が生じない。 政治もマスコミも大企業偏重になり、弱者マジョリティがニヒリズムに陥ると、後は空気に支配されるのを受け入れるだけになるのかなと感じました。 あと、10数年ほど前から「男女脳の差」について解説する本が増えましたよね。 それだけ脳科学の分野で研究が進んだということでしょうけど、そのために「男性は結論を求める。女性は共感を求める」といったイメージが先行しすぎたきらいがあります。 確かにそういう傾向はあるのでしょうけど、ああいった解説本が主に取り上げているのは「夫婦やカップルのすれ違い」であり、即ちプライベートエリアにおける問題解決法が述べられているのだと思います。 パブリックエリアである仕事においてはまた別であるはずなのですが、上述したイメージにひっぱられて「合理的判断は男性。感情共有は女性」みたいな判断が広まってしまっているのだとすれば、それは非常に好ましくない状態だと思います。 私の職場を見る限りでは、公私の区別がしっかりしている人、それができない人は男女問わず一様に存在するので、性別による能力差を意識する場面はほとんどありません(当然ながら違いは存在します)。 なので、イメージによってもたらされた「空気による支配」が払拭されれば、公平な環境がもたらされる可能性はあるのだろうと思います。
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木蘭先生の記事を拝読しました。
『ゴー宣道場』で言及されていた数々の統計をあらためて見ると、フェミニストが主張しているよりもはるかに複雑な事情が背後に隠されていることに気付かされます。
今、NHKで『伝説のお母さん』という連続ドラマが放映されているのですが、仕事と育児にまつわる日本社会の様々な矛盾を『ドラゴンクエスト』などのファンタジックなRPGの世界に置き換えて戯画化した内容で、やはり働く女性に圧倒的な支持を受けているそうです。
男性側の無理解や意識の低さが批判的に描かれる部分も多いのですが、それら含め根本的な原因が「男女共に空気に支配されているため」であり、魔王が何もせずとも人間らが勝手に自滅の道を進んでしまう、というシニカルな描写にはうなるしかありませんでした。
一方、記事の中の
「「働き方改革」「ワークライフバランス」のような言葉は耳障りは良いが、産休・育休・保育施設完備など女性の働きやすさに現状完全に対応していけるのは、一部の大企業だけ。日本の99.7%は中小零細企業なのである」
という文章も大きな問題提起だと思います。
報道番組などでは、こうした福利厚生に積極的に取り組む企業が紹介されていたりしますが、それはそれで良いとしても、そうした対応など覚束ない職場で働く大多数の女性の実状があまり伝えられていないのは非常に気になるところです。
新型コロナ騒動においても、厚労省が「テレワーク導入」を推奨したことで、それを実践している企業を取材したりしていますが、多くの視聴者は
「んなもん、ウチで出来るわけねーわ」
とシラケきって見ていたのが本当のところでしょう。
一部の大企業や新進企業といった「好調なグループ」の取り組みだけ取り上げたった意味がない。
それが出来ないマジョリティの実状も伝えないと、「だったら、どうする?」という議論の起点が生じない。
政治もマスコミも大企業偏重になり、弱者マジョリティがニヒリズムに陥ると、後は空気に支配されるのを受け入れるだけになるのかなと感じました。
あと、10数年ほど前から「男女脳の差」について解説する本が増えましたよね。
それだけ脳科学の分野で研究が進んだということでしょうけど、そのために「男性は結論を求める。女性は共感を求める」といったイメージが先行しすぎたきらいがあります。
確かにそういう傾向はあるのでしょうけど、ああいった解説本が主に取り上げているのは「夫婦やカップルのすれ違い」であり、即ちプライベートエリアにおける問題解決法が述べられているのだと思います。
パブリックエリアである仕事においてはまた別であるはずなのですが、上述したイメージにひっぱられて「合理的判断は男性。感情共有は女性」みたいな判断が広まってしまっているのだとすれば、それは非常に好ましくない状態だと思います。
私の職場を見る限りでは、公私の区別がしっかりしている人、それができない人は男女問わず一様に存在するので、性別による能力差を意識する場面はほとんどありません(当然ながら違いは存在します)。
なので、イメージによってもたらされた「空気による支配」が払拭されれば、公平な環境がもたらされる可能性はあるのだろうと思います。