希蝶 のコメント

 大分遅くなりましたが、今号の感想を改めて記します。

 ゴーマニズム宣言・第352回「中村哲を従米ポチはどう見るか?」
 感想は№66にも記しましたが、わしズムを読み返してみて、元タリバン兵が「戦車を壊すのと、用水路を通すために爆破するのとどっちが楽しいか」と尋ねられた際に、「どっちも好きだ」と答えた、という記述に、善悪の価値判断は見る側によって異なるもだけでも、やっている当人にとっては、実は同じことをしているだけで、表裏一体でヤヌスの顔のようだ、ということを感じさせられました。恐らく中村氏を暗殺したグループにとっても、用水路工事を進めることと、中村氏暗殺との行為の矛盾は、さほどなかったのだろうと想像します。
 それでも、同じ日本人というひとくくりにしないで、良い日本人もいれば、悪い日本人もいる、大悪もいれば小悪もいて、郷原(きょうげん)もいれば大徳のある人物もいる、のような違いは、テログループ側に判別して貰いたかった、というのは甘えた、無理な考えだったのでしょうか。台湾の六士先生の中には楫取素彦の次男もいましたが、人物の評価は、遺業をなした誰それの子供とか血縁とか、地位とかいうものではなく、その当人が実際に何を行い、何をしようとしたのか、まで見ないといけないでしょう。
 先日「バットマン・ビギンズ」をレンタルで見たという話を記しましたが、その中のブルース・ウェインの父親は(映画『ジョーカー』とは正反対で)貧しい人のためにモノレールをつくった徳のある人物というふうに描かれており、それゆえにギャングに狙われて殺されていまったわけで、こういう言い方も正しいのかどうか分かりませんが、善良な富豪のアメリカ人もいる、とも信じたいです。
 
 ごちゃごちゃ記しましたが、中村哲氏のご冥福をお祈りするとともに、何らかの形でその思いを継承させてゆくことが可能ならば、と願います。バットマンも父親の遺志をついで、正義のヒーローになろうとしたのだから、というのは蛇足でしょうか。

No.210 52ヶ月前

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