shiro のコメント

1942年制作の「カサブランカ」では英雄的レジスタンスの夫に身も心も預けたヒロインが、かつての不倫相手との間で揺れ動いたりします。泥にまみれてと違い、夫は完璧な聖人君子です。でも、妻が夫に自我を預けている点は同じですね。「彼を尊敬し愛している」けれど、「そうした自分の生き方を愛する」という視点が彼女にはない。理想的な夫と一体化して、個をどこかに置き去りにしてしまっている。だから、その自信のなさから、かえって昔の男に未練を感じてしまう。まあ、相手の男のほうが、それじゃ救われないなと悟って、めでたしな話になるんですけどね。

当時は、まだ大義とか理想とかが恋愛と対峙出来ていた時代だったんでしょう。そうしたものと対峙するからこそ、愛の価値も問われ、また鍛え上げられるような気もしますが、いかがでしょうか。

No.85 60ヶ月前

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