「ジャンケット」なるものを知って、阿佐田哲也の『ドサ健ばくち地獄』を思い出しました。 昭和三十年代の、東京の地下賭博の話なんですが、客の姿だけでなく、胴元の姿も克明に描かれていました。 胴元は、廻銭(客に廻すゼニ)を、誰にいくら放るか、どう回収するか、という勝負をしていると。 出し惜しめば場が潤わないし、下手に貸せば返ってこない、その押し引きをどうするか。つまり、胴元も客と同様、バクチ打ちであって、その腕がなければたちまち潰れてしまうと。 そして、胴元を含む何人もの凄腕ばくち打ちが、約一年間の激闘により、どうなったかといえば、ラストの文章はこんな感じです↓。 >一人ずつ、敗退していき、負けて消えていった者は、それなりの傷手をこうむっていった。 >その金が、どこに残ったか。 >不思議な話だが、皆が命より大事と思ってやりとりした金が、もまれて四散し、露のように消えてしまった。 そして、主人公のドサ健は勝ち残りはしたものの、 >生まれてはじめて、たとえようもない淋しい心を湧かせていた。 だ、そうです。
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「ジャンケット」なるものを知って、阿佐田哲也の『ドサ健ばくち地獄』を思い出しました。
昭和三十年代の、東京の地下賭博の話なんですが、客の姿だけでなく、胴元の姿も克明に描かれていました。
胴元は、廻銭(客に廻すゼニ)を、誰にいくら放るか、どう回収するか、という勝負をしていると。
出し惜しめば場が潤わないし、下手に貸せば返ってこない、その押し引きをどうするか。つまり、胴元も客と同様、バクチ打ちであって、その腕がなければたちまち潰れてしまうと。
そして、胴元を含む何人もの凄腕ばくち打ちが、約一年間の激闘により、どうなったかといえば、ラストの文章はこんな感じです↓。
>一人ずつ、敗退していき、負けて消えていった者は、それなりの傷手をこうむっていった。
>その金が、どこに残ったか。
>不思議な話だが、皆が命より大事と思ってやりとりした金が、もまれて四散し、露のように消えてしまった。
そして、主人公のドサ健は勝ち残りはしたものの、
>生まれてはじめて、たとえようもない淋しい心を湧かせていた。
だ、そうです。