泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第137回「風俗で働く女性は“搾取”されているのか?」 告白すると、私は風俗へ行ったことはないのです。だから、どんな感想も記す権利はなく、想像でしか語ることしかできないのですが、先にも述べましたように、「生理」が人間の宿命ならば、それは甘んじて受けないといけないのだ、と思いました。そして、人々が貧しかった時代に、人権を掲げて、「過去」の間引きを裁く権利が現代の私たちにあるのか、まずは生きるためにはやむを得なかった、母親としても断腸の思いだったのだろうと想像します。 あと、また自分がよんだ漫画の話をあげますが、こういう話があります。 その話の主人公は就職活動中の女子大生で、縁あってAV制作会社の事務に就職しますが、人員が足りないという理由で、制作現場に回され、やがて監督にもなります。その初監督作で、主演の女優が覚悟してきたつもりではいたけれども、やはりできないと言って逃げ出してしまいます。その女優はモデルだったのですが、芽が出ず、社長のすすめでAVをやってみることになったのですが、そんな彼女を、ヒロインはこんなふうに諭すのです。 AV女優というのは、見る側にして見れば自分だけの天使なのではないか。アイドルより身近で彼女より遠い、でも一人の時間を共有してくれる存在なのではないのか。 その言葉を聞いて、女優はいままで名前の出ないモデルだったけれども、もしかしたらだれかの特別な存在になれるかもしれない、と言って、出演を決意する、という話でした。 木蘭さんの場合は、生活のために風俗があって、助かったという話で、もう少しドライな話なのだと感じましたが、こういう仕事があって救われた、というのは客の側も同じなのだろうと思います。それを搾取だとか人権なんだという視点だけで語ってよいのでしょうか。制度の改革みたいなことは必要なのかもしれませんが、「性」とは人間にとって避けられないものであり、好き好んで表に出すべきものではないとしても、無にすることはできないものではないのでしょうか。 ひょっとしたら、これも、まだ現実が分かっていない意見なのだろうとも思います。
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泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第137回「風俗で働く女性は“搾取”されているのか?」
告白すると、私は風俗へ行ったことはないのです。だから、どんな感想も記す権利はなく、想像でしか語ることしかできないのですが、先にも述べましたように、「生理」が人間の宿命ならば、それは甘んじて受けないといけないのだ、と思いました。そして、人々が貧しかった時代に、人権を掲げて、「過去」の間引きを裁く権利が現代の私たちにあるのか、まずは生きるためにはやむを得なかった、母親としても断腸の思いだったのだろうと想像します。
あと、また自分がよんだ漫画の話をあげますが、こういう話があります。
その話の主人公は就職活動中の女子大生で、縁あってAV制作会社の事務に就職しますが、人員が足りないという理由で、制作現場に回され、やがて監督にもなります。その初監督作で、主演の女優が覚悟してきたつもりではいたけれども、やはりできないと言って逃げ出してしまいます。その女優はモデルだったのですが、芽が出ず、社長のすすめでAVをやってみることになったのですが、そんな彼女を、ヒロインはこんなふうに諭すのです。
AV女優というのは、見る側にして見れば自分だけの天使なのではないか。アイドルより身近で彼女より遠い、でも一人の時間を共有してくれる存在なのではないのか。
その言葉を聞いて、女優はいままで名前の出ないモデルだったけれども、もしかしたらだれかの特別な存在になれるかもしれない、と言って、出演を決意する、という話でした。
木蘭さんの場合は、生活のために風俗があって、助かったという話で、もう少しドライな話なのだと感じましたが、こういう仕事があって救われた、というのは客の側も同じなのだろうと思います。それを搾取だとか人権なんだという視点だけで語ってよいのでしょうか。制度の改革みたいなことは必要なのかもしれませんが、「性」とは人間にとって避けられないものであり、好き好んで表に出すべきものではないとしても、無にすることはできないものではないのでしょうか。
ひょっとしたら、これも、まだ現実が分かっていない意見なのだろうとも思います。