M.O のコメント

今号の『ライジング』と直接関係はない内容なのですが、『ゴー宣』が描き続けてきたテーマと関連することをテレビで見かけたので投稿いたします。
『マツコ&有吉 かりそめ天国』という深夜番組で、実に興味深いトークが展開されていました。
この番組、ゴールデンタイムで多くの冠番組を持つマツコ・デラックスと有吉弘行が、そちらでは絶対に口にできない毒舌トークを、深夜枠ということでリミッターを解除して喋りまくるという痛快なトークが人気になっています。
さて、先日の放送で、マツコ・デラックスが「最近のテレビは注釈だらけ」と指摘してから、リスクヘッジだらけの社会についてのトークになりました。
以下、かいつまんで記します。

有吉「犬が船の上に乗ってたりして『※CM上の演出です』って、んなもん分かってるよ! っていう話」
マツコ「あれってクリエイターが考えてるわけだから、作品よねえ。それに『演出です 』って注釈入れるんだからねえ」
マツコ「そのうち、ニュース番組でも『※ウソかもしれません』って入るかもね」
マツコ「スポーツニュースでも「※勝ち負けは分かりません」とかね」
有吉「誰もケガすることなく、無事に終了しました! で終わり(笑)」
有吉「そもそも、勝ち負けを決すること自体、戦争に繋がるから良くないもんねえ(笑)」
マツコ「食べ物番組でも、『残ったお料理は猫ちゃんに食べてもらいました』って言って、映像流さないとね。ADとかに食べさせるのもダメなのよ」
有吉「で、こういうのが行き着くところまで行くと、ファンタジーになっちゃうんだよ。お花畑でみんなニコニコしてて、『魔法使いの匂いがする~』とか言っちゃって」
マツコ「誰も何も傷つけない。でも、みんな心の中ではすっげーイライラしてるっていう」

恐らく面白さの10分の1も伝わっていないと思うのですが、私は笑い転げていました。
これって、小林先生が闘い続けてきた表現規制とか潔癖社会を揶揄しているものだと思います。
まさかこんなテーマを、深夜枠とはいえ、地上波で取り上げるとは想像だにしませんでした。
しかも喋っているのがマツコと有吉。
ゴールデンで見せる姿は、あくまで上辺だけに過ぎないということがよく分かりました。
さすが、新宿二丁目で裏社会を見続けてきたマツコと、芸能界の地獄から這い上がった有吉だけあって、清濁呑み込むリアリズムというものを持ってますね。
それを見事なブラックユーモアに昇華させたトークは、芸人として見事。
有吉、すっかり守りに入ってつまらなくなったと思っていたけど、誤解だった、すまん。
それどころか、毒舌の切れ味はますます鋭くなってる。
臆することなく喋ったこの2人には、「個」がありますね。
吉本のサラリーマン芸人には、逆立ちしたって無理な芸当でしょう。
こういう「風刺精神」を忘れず、それを芸として実践する芸人がちゃんと存在したことを嬉しく感じました。
私は大阪人ですが、吉本には少し警戒心を抱きながら距離を置き、なるべく広く演芸界を見渡していきたいと思っております。

No.493 65ヶ月前

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