M.O のコメント

今週も配信ありがとうございます。
「Q&A」にあった吉本新喜劇への安倍晋三の出演、大阪人として見ていていたたまれなくなりました。
新喜劇が、というよりは、吉本興業が権力へすり寄るのをいとわなくなっていますね。
以前によしりん先生が「芸人が多すぎるから、情報番組のコメンテーターとして出演させるようになっている」と指摘されていましたが、会社としてはその方針を続けるために権力と良好な関係を保ちたいのかもしれません。

ただ、そもそも吉本の笑いって、自分たちがアホを演じて「ワシら、アホでしょ。どうぞワロてってください」というようなもの(新喜劇は特にそういう内容)なので、権力を笑うという演芸とはかなり趣が異なります。
上方漫才のご意見番・中田カウスは、
「我々の師匠やった中田ダイマル・ラケットには、ようさんタニマチがついとった。劇場の出番が終わると、彼らと飲みに行き、座敷でまたネタをやり、スーツのポケットを札束で一杯にしとった」
と語っておりました。
つまり、権力者とまでは言わないにしても、金持ちや有力者と仲良くしておく、という風潮が一昔前までは確実に存在していたということです。
もちろん、今はこういうタニマチを持つ芸人は少ないでしょうけど(そういえば、中田カウスは以前、反社会的な方々と一緒にいるところを週刊誌に写真を撮られていましたが)、そういった残滓が存在するのか、上方芸人と一般市民の距離は異様に近いです。
芸人がロケに出ると「応援しとるから、頑張れよ」と声をかける街の人たちの何と多いことか。
そういう良好な関係を保つためにも、政治的なネタは極力避ける、というのが暗黙の了解となっているのではないか、と思います。

だからこそ、新喜劇に安倍晋三を出す、という愚行を犯して欲しくなかったです。
劇場は権力者を排外する場であり続けるべきでした。
恐らく会社の意向であり、座長や座員の中には反対だった者もいただろうけど逆らえなかったのだろう、と個人的には想像しています。
ひょっとしたら小籔千豊の関与を疑う方もおられるかもしれませんが、小薮は「計算尽くの毒舌キャラ」で売り出しており(それが成功しているかどうかはともかく)、自分の身を粉にして新喜劇に貢献することをモットーとする篤志家なので、新喜劇の伝統に泥を塗るような行為には絶対に手を出さないはず、と私は考えております。

まあ、今回の安倍晋三の新喜劇出演は、大阪12区補欠選挙の応援演説のついでだったわけですが、そこは結局自民党が敗北した、というのがせめてものなぐさめ――いやでも、勝利したのが維新候補なので単純に喜べないので、複雑な心境としか言いようがないですかね。

No.25 60ヶ月前

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