配信お疲れ様です。猫が冬毛になってきました。

悩み相談というと、橋本治氏の名著「青空人生相談所」を思い出します。悩んでそれを克服して、もう一度成長する、それを繰り返すのが人間であると。そうした産みの苦しみに関して、他人はせいぜいが安産を窓の外で見守るしかできないし、その人に代わって産んでやることなんて出来ない。とまあ、別に代理出産を論じる気はなかったのですが、例えて言うならそういうことだと思います。人生には、他人に代わってもらってはいけないこともあるかもしれませんね。

立ち入ってはいけない部分、禁足地、とでも申しましょうか。そうした感覚が人々の間から消えて久しい。啓蒙の光で世界の隅々まで照らせば、それで人は幸福になれるのでしょうか。その光の眩しさの陰で、結局我々の本性は惨めに縮こまるしか、ないのかもしれない。

触れぬものは触れぬまま、墓場まで持って行ったほうがいいことだってある。万人に祝福なんかされなくったっていいのに、誰しもが誰しもの生き方を十全に認めるべきだと強制しようとする。それがかえって人の多様性を狭めている。そんな気がしますね。