shiro のコメント

ふと、エンデの「モモ」を思い出しました。徹底して時間の無駄を省き、整然と管理された世界を推進する灰色の男たち。彼ら近代合理主義の権化は、人々に時間の節約こそが幸福への道であると説いて回ります。旧市街の家々は取り壊され、余分なもののいっさいついていない新しい家が立つ。家を作るにも住む人に暮らし良くなどしません。全部おなじに作ってしまう方が安上がりで時間も節約できます・・・・。「モモ」に語られる地平線の果てまで同じ光景が立ち並ぶディストピアこそ、現代の我々の暮らしの一端に他なりません。時間の節約を考えたら、真っ先に浮かぶのがこうした「標準化」です。そして、人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていく。浮浪児で円形劇場の廃墟に住まう少女モモは、彼らの陰謀に立ち向かい、そして・・・。

まあ、読んでない方は読んでみるべきだと思います。児童文学の傑作のひとつです。

No.18 75ヶ月前

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