M.O のコメント

「コンテンツ」の話題で思い出したのが、大阪府知事時代の橋下徹です。
橋下は府の財政状況を改善するために、文楽や大阪フィルハーモニーに対して、客を呼べなかったら補助金を打ち切る、と通告しました。
特に文楽については、「客が入らないのであれば三谷幸喜さんに脚本を書いてもらえばいいじゃないですか」と発言していました。
伝統芸能に対して理解しようともせず、「客が入る・入らない」という尺度だけで評価しており、これはすなわち「文楽は府が補助すべき有効なコンテンツか否か」という極めて商業主義的な発想で判断しているものと思われます。

また、堺市にある百舌鳥古墳群は、以前から世界文化遺産の登録を目指していますが、橋下は「古墳は近くに行っても森があるだけ。観光地にはならない」と言って、登録に向けた活動に否定的な態度を示していました。
現在は古墳好きのマニア(古墳マニアの女性は「フン女」というらしいです)は増えていますが、それはひとまず置いておくとして、登録を目指す方々は観光地化を目的としているわけではないだろうと思います。
もちろん、地元は盛り上がるでしょうけど、それよりも日本の古代史における学術的価値が極めて高い遺跡を世界にアピールしたい、より多くの人に知ってもらいたい、という考えはお持ちだろうということは想像できます。
しかし、橋下にとっては「百舌鳥古墳群は予算をかけるほどのコンテンツではない」ということになるのでしょう。

そういえば地方創生担当相だった山本幸三は「学芸員はガン」と発言しましたが、あれは京都の二条城について「文化財のルールで火も水も使えない。花が生けられない、お茶もできない。そういうことが当然のように行われている」と言及した流れで出たものでした。
文化財保護のためには当然の規定なのですが、山本はインバウンド収入のことしか頭になく、「せっかくのコンテンツを活用できないのは何事だ」という発想だったのでしょう。
「公」の感覚がすっぽり抜け落ちた人間が、「コンテンツ至上主義」に陥っているように思います。

No.57 67ヶ月前

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