今週も配信ありがとうございます。 スウェーデンの医療の現実は大変勉強になりました。 スウェーデンを含む北欧に憧憬を抱く日本人は多いですよね。 「世界で最も幸せな国」ランキングでは、フィンランド・ノルウェー・デンマークがトップ3なのだそうです。 幸福の尺度なんて国それぞれなので、こうしたランキング自体がグローバリズムの発想に基づいたものだと思いますが、日本人はランキング好きだから盲信して「北欧出羽の守」になっちゃうんですよねえ。 私は消費税が20%以上の制度など、国民全員の意識が全く変わらない限りは受け入れられるはずがないと思うし、社会制度全般も発想の根本から変えなければいけないので、まず不可能だと考えていましたが、北欧にも相応の負の部分があったのですね。 『戦争論』が空気を変えたというのは、元ネトウヨとしては大いにうなずけます。 オリンピックなどの国際試合で、日本代表のアスリート達が「日の丸を背負って」と堂々と公言できるようになったのも、この時代の変化によるものかな、と思います。 ところで、このコメント欄で、何故女性の棋士が誕生しないのか、という議論が交わされていますが、勝手な想像で将棋連盟が男尊女卑に囚われた組織と決めつけるのは良くないでしょう。 「将棋=大相撲みたいな旧態依然の世界」と思い込んでいないですか? 藤井聡太七段の活躍で、将棋連盟のシステムについて少し知ることが出来ましたが、ご存じの通り相当な狭き門です。 そこで私が考えるのは、そもそもプロ棋士を目指す女子が圧倒的に少ないのではないか、ということです。 プロ棋士になるためには奨励会に入らねばならず、そのためには通常はプロ棋士の弟子になる必要があります。 藤井七段も羽生永世竜王も、小学生時代に弟子入りしています。 プロ棋士になれる年齢には制限があるので、遅くとも中学生か高校生ぐらいまでには、弟子入りについて考えなければなりません。 プロ棋士の夢潰えた場合、「つぶし」がきかないという意味では、これは相当なハイリスクを伴う決断であり、それを選択する女子がどれだけ存在するでしょうか? 26歳まで将棋一筋で、プロ棋士になれなかっとしたら、そこから食べていくための苦労は女子の方が大きいのではないでしょうか? そこまで現実的に考えて、「無理してプロ棋士を目指す必要はないか」と考える女子やその親御さんが、圧倒的多数なのでは? もちろん、才能のある女子が登場する可能性は常に存在します。 だから、条件を緩和した「女流棋士」という枠を将棋連盟が設けたのでは? もし、将棋連盟が「封建的」だとしたら、そういう枠を設けるはずがないし、ましてや外国人女流棋士を受け入れるはずもない。 閉鎖的で格式ばかり重んじる組織だったら、ニコ動のネット中継を許可するはずがないし、佐藤紳哉七段も「カツラはずしパフォーマンス」なんか出来ないでしょう。 伝統や礼儀を重んじつつ、一方で近代化された組織になっているのだろう、ということは、露出が増えた棋士の方々のキャラクターや雰囲気を見ていれば、想像することは可能だと思うのですが。 私がこの「ライジング」のコメント欄で、時折感じる「危うさ」が、こういった「批判対象の勝手な拡大」です。 本編を踏まえた内容や方向性ではあるものの、「それとこれとは、また事情が違う」「別角度で見れば異なる結論になる」「部分否定レベルの根拠でも全否定してしまっている」と感じるコメントが、時折見受けられます。 我々は自分の「現場」以外では素人に過ぎないし、「自警団」でもありません。 基本的には「考え続けること」しか、できないはず。 そこから逸脱して、「ライジング」に寄りかかった「尻馬に乗る」的な言論に走るのは、庶民の精神から外れているように思います。
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小林よしのりチャンネル
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今週も配信ありがとうございます。
スウェーデンの医療の現実は大変勉強になりました。
スウェーデンを含む北欧に憧憬を抱く日本人は多いですよね。
「世界で最も幸せな国」ランキングでは、フィンランド・ノルウェー・デンマークがトップ3なのだそうです。
幸福の尺度なんて国それぞれなので、こうしたランキング自体がグローバリズムの発想に基づいたものだと思いますが、日本人はランキング好きだから盲信して「北欧出羽の守」になっちゃうんですよねえ。
私は消費税が20%以上の制度など、国民全員の意識が全く変わらない限りは受け入れられるはずがないと思うし、社会制度全般も発想の根本から変えなければいけないので、まず不可能だと考えていましたが、北欧にも相応の負の部分があったのですね。
『戦争論』が空気を変えたというのは、元ネトウヨとしては大いにうなずけます。
オリンピックなどの国際試合で、日本代表のアスリート達が「日の丸を背負って」と堂々と公言できるようになったのも、この時代の変化によるものかな、と思います。
ところで、このコメント欄で、何故女性の棋士が誕生しないのか、という議論が交わされていますが、勝手な想像で将棋連盟が男尊女卑に囚われた組織と決めつけるのは良くないでしょう。
「将棋=大相撲みたいな旧態依然の世界」と思い込んでいないですか?
藤井聡太七段の活躍で、将棋連盟のシステムについて少し知ることが出来ましたが、ご存じの通り相当な狭き門です。
そこで私が考えるのは、そもそもプロ棋士を目指す女子が圧倒的に少ないのではないか、ということです。
プロ棋士になるためには奨励会に入らねばならず、そのためには通常はプロ棋士の弟子になる必要があります。
藤井七段も羽生永世竜王も、小学生時代に弟子入りしています。
プロ棋士になれる年齢には制限があるので、遅くとも中学生か高校生ぐらいまでには、弟子入りについて考えなければなりません。
プロ棋士の夢潰えた場合、「つぶし」がきかないという意味では、これは相当なハイリスクを伴う決断であり、それを選択する女子がどれだけ存在するでしょうか?
26歳まで将棋一筋で、プロ棋士になれなかっとしたら、そこから食べていくための苦労は女子の方が大きいのではないでしょうか?
そこまで現実的に考えて、「無理してプロ棋士を目指す必要はないか」と考える女子やその親御さんが、圧倒的多数なのでは?
もちろん、才能のある女子が登場する可能性は常に存在します。
だから、条件を緩和した「女流棋士」という枠を将棋連盟が設けたのでは?
もし、将棋連盟が「封建的」だとしたら、そういう枠を設けるはずがないし、ましてや外国人女流棋士を受け入れるはずもない。
閉鎖的で格式ばかり重んじる組織だったら、ニコ動のネット中継を許可するはずがないし、佐藤紳哉七段も「カツラはずしパフォーマンス」なんか出来ないでしょう。
伝統や礼儀を重んじつつ、一方で近代化された組織になっているのだろう、ということは、露出が増えた棋士の方々のキャラクターや雰囲気を見ていれば、想像することは可能だと思うのですが。
私がこの「ライジング」のコメント欄で、時折感じる「危うさ」が、こういった「批判対象の勝手な拡大」です。
本編を踏まえた内容や方向性ではあるものの、「それとこれとは、また事情が違う」「別角度で見れば異なる結論になる」「部分否定レベルの根拠でも全否定してしまっている」と感じるコメントが、時折見受けられます。
我々は自分の「現場」以外では素人に過ぎないし、「自警団」でもありません。
基本的には「考え続けること」しか、できないはず。
そこから逸脱して、「ライジング」に寄りかかった「尻馬に乗る」的な言論に走るのは、庶民の精神から外れているように思います。