希蝶 のコメント

今号の感想です。

1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第93回「『海外では女医が多い』の疑問」
「出羽守」はとても良いネーミングだと思いましたが、私たちは「では」を「でも」の意味に拡大解釈してしまうのでしょうか。有り体に言えば、よそ様には様々な事情があり、それを公式や規則のように無理矢理当てはめようとすると齟齬が生じる、ということなのでしょう。女の人はお産をするけれども、男にはそんなことはまるでないのだから。「笑うミカエル」という漫画で、男にはなぜ生理がないのか、とヒロインが心の中で叫ぶ場面がありましたが、運の悪い方が妊娠する、という体の構造になったらどうなのか、と冗談で思いました(それはそれで気持ち悪いだろうな)。

女医が活躍する作品は、日本「でも」フィクションの世界には、山ほどあるのですけれども。木蘭さんがあげた科捜研の女以外にも、名取裕子のが有名ですし(あちらには子供が居る)、ブラックジャックが人体の内部を見透かすことができる両眼を移植した女医が活躍するなんて作品も、漫画やアニメにはあったように記憶します。

2. ゴーマニズム宣言・第289回「〈空気〉を変えたのは『戦争論』だ!」時浦兼
先だっての朝生の「生きのびよ、日本」の回では日本や世界の現状がまるで変わっておらず、むしろ劣化しているように記しましたが、『戦争論』が出て、日本の言論や與論が変わった、とは言えるのだと思います。私の場合は、井沢元彦先生との対談本をよまなければ、この本にも、しいては「ゴー宣」や「小林よしのり」を通り越してしまっていたのですが。
しかし、その変化が人間の進化を否定する振り子のようにも働いてしまったことを思うと、複雑な気分になります。思うに、人間は失敗したら、単純に正反対のことをすればいい、と思い込んでしまうのでしょうか。夜更かしをしすぎたら早寝をすればいい、食い過ぎたらダイエットをすればいい、と。人間の体や精神はそんな安易な構造をしてはいない、と思うのですが。
そして、こういうブレが起きたのには、「遺伝説」が関与しているのではないか、というのが私見です。先祖が立派だったのだから、その子孫である私たちも立派であるはずだ。事実はその先祖は先の大戦で死に絶えたのか、あるいは臆病者のみが残り、自己を鼓舞する名目で、夜郎自大になってしまったのではないか、とも。

No.100 75ヶ月前

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