ライジングの配信、ありがとうございます。 見聞録で取り上げられたロバート・キャパのことは、初めて知りました。 生活と実存を懸けたキャパの生き様があまりにもドラマチックで、一編の映画を見せられているような心持ちになりました。 もくれん師範の筆致の巧みさによるところも大きいと思います。 代表作の日本語版が『ちょっとピンぼけ』。訳が秀逸です。 戦場の緊迫した情景と、丸っこいフォントを使った、緊張感が微塵も感じられない表題のミスマッチがなんともいえず面白い。日本語版なのでキャパが直接つけたタイトルではないのでしょうが、キャパの人となりを訳者が的確に表現した結果であるように思われます。 「崩れ落ちる兵士」については、フェイクといえばフェイクでしょう。 「戦争報道に大きな功績を残した写真家が名声を上げたきっかけは、フェイク写真だった」というと聞こえは悪い。 ですがこうした不条理は歴史の中ではよく見られることだと思います。 そもそもユダヤ人の名前では売れず、アメリカ人やフランス人・スペイン人っぽい名前にしたら売れたという話からして無茶苦茶で、そうなると写真にどれだけ事実に即していることが求められていたか、当時の雰囲気や買い取る側の姿勢も問われなければならないように思います。 もくれん師範が仰るように、アンドレはこの写真によって戦場写真を撮り続ける覚悟を固めたようにも捉えられます。 であれば、それから80年経った今となっては、その歴史的な事象をとやかく言っても仕方なく、それよりもキャパの人生に思いを巡らせる方が有意義なのではないか、と思いました。
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小林よしのりチャンネル
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ライジングの配信、ありがとうございます。
見聞録で取り上げられたロバート・キャパのことは、初めて知りました。
生活と実存を懸けたキャパの生き様があまりにもドラマチックで、一編の映画を見せられているような心持ちになりました。
もくれん師範の筆致の巧みさによるところも大きいと思います。
代表作の日本語版が『ちょっとピンぼけ』。訳が秀逸です。
戦場の緊迫した情景と、丸っこいフォントを使った、緊張感が微塵も感じられない表題のミスマッチがなんともいえず面白い。日本語版なのでキャパが直接つけたタイトルではないのでしょうが、キャパの人となりを訳者が的確に表現した結果であるように思われます。
「崩れ落ちる兵士」については、フェイクといえばフェイクでしょう。
「戦争報道に大きな功績を残した写真家が名声を上げたきっかけは、フェイク写真だった」というと聞こえは悪い。
ですがこうした不条理は歴史の中ではよく見られることだと思います。
そもそもユダヤ人の名前では売れず、アメリカ人やフランス人・スペイン人っぽい名前にしたら売れたという話からして無茶苦茶で、そうなると写真にどれだけ事実に即していることが求められていたか、当時の雰囲気や買い取る側の姿勢も問われなければならないように思います。
もくれん師範が仰るように、アンドレはこの写真によって戦場写真を撮り続ける覚悟を固めたようにも捉えられます。
であれば、それから80年経った今となっては、その歴史的な事象をとやかく言っても仕方なく、それよりもキャパの人生に思いを巡らせる方が有意義なのではないか、と思いました。