ゴー宣について。

僕は、宮台さんの言う、「プラトンの著作について教養のある人間」ではないと思います。
しかし、プラトンの著作の愛読者ではあるので、村本＝ソクラテス説には、ぶち切れそうになりました。

ソクラテスは、無知を自慢した人ではありませんし、無知を言い訳にした人でもありません。そんなどこにでもいるような人物が、歴史に名を残すわけもないことは、プラトンをまるで知らない人にもわかることじゃないですか。

だいたい、村本がそんな偉大な人物だったら、菊池亜美はどうなるのか。同じく無知を自覚して、ただし無知を自慢したり言い訳にしないぶんだけ、より偉大なんじゃないですか？

そもそも、宮台さんの言う「知」と、ソクラテスが知らないと言った「知」とでは、次元が違います。
憲法９条などの「知」は、読めば知られることで、ソクラテスが知らないと言った知は、どこにも書かれていないことです。

善とは、正義とは、あるいは知識とは何か。そういうことは、よく考えれば簡単にケリの付くようなものじゃない。それなのに、簡単に知った顔をする自称知識人が、現代と同じくわんさかいたから、それは「悪いこと」だと思って、ソクラテスは問答をしたわけでしょう？　知った顔するのは「善くない」と。

つまり、ソクラテスも当然、無知を「悪」と思っている。知を「善」と思っている。ソクラテスは「本当の知者は神だけだ」と言い、彼にとって神は、完全に善い存在です。現代的な何教の神でもない。

だから、宮台さんが「無知でも構わない」と言うなら、それはソクラテスに言わせれば、神を畏れぬ不敬虔ということになりそうです。
そして、「悪い者が善い者を害することはできない」という道理からすれば、神を敬わないことで損をするのは、神ではなく、不敬虔な当人だと。

僕はその「当人」にはなりたくないので、こんな「当人」の説はクソだと思うだけですがね。