言ひ忘れてゐたこと。 「先づ隗より始めよ」とは、「死馬の骨を買ふ」と、セットの言葉です。 とある王様が、千里の馬を求めて、使者を送ったところ、その馬がすでに死んでゐて、死んだ馬の骨を家臣が購入してきたので、激怒したところ(そりゃ、当たり前ですよね)。家臣は「死んだ馬でさへ、五百金で買ふのだから、生きてゐる馬ならどれだけ高値で買ってくれるだらうか、と評判になって、必ず馬が集まるでせう」と答へ、 果たして、一年たたずして、三匹の駿馬が集まってきた、といふ意味です。 それから、燕の昭王が郭隗さんのやうなつまらぬ人材から優遇しては、となり、楽毅(がくき)とか、有能な人材が燕の国に集まってきた、となるわけです。 つまり、この論理からすると、自衛隊を附記するが如き、つまらないところから改憲してみてはいかが、必ず実体のある改憲につながるでせう、となり、安倍のぽちであることを、積極的に肯定してゐることになります。 ちなみに、これを言ってゐる郭隗さんは、決してつまらない人物ではないです。(出典:戦国策) 似たやうな話に「沙中偶語」といふのもあり、 漢の劉邦が張良に、「みんなで砂の上で何か話してるけれども、何を話してゐるのだらうか」と尋ねたところ、張良は「謀叛の密談をしてゐるのです」と答へ、 その理由として、「恩賞が足りないから」と答へたわけで、 劉邦がその対策をたづねたところ、 張良は「ならば、陛下が一番恨みを持ってゐる、功臣は誰ですか?その人を諸侯として封じれば、『あんな奴でさへ、褒美を貰へるのだから、自分はもっと良い待遇をして貰へるだらう』と期待する筈です」といふ方策をさづけたら、 謀叛計画はぴたりとやんだ、といふやうな話です。 しかし、劉邦がその後したことは、功臣の大粛正でした。 ネトウヨと呼ばれる人たちや、安倍の太鼓持ちは、この話から何を学ぶのでせうか? ちなみに、楽毅は斉(せい)の国をほぼ征服しましたが、国王が息子に代替はりしたあと、冷たくあしらはれて、斉の救国者、田単(でんたん)の離間策にかかり、国外追放させられた、となります。 「狡兎死して、走狗煮らる」とはかくの如きことを言ふのでせう。 「千里の道も一歩から」、ではない、「百里を行く者は九十里を半ばとす」といふことわざを、私たちは身に沁みて感じなければならないのかな、と思ひました。 山尾志桜里さんの改憲案に期待します。 「遠交近攻」といふ言葉も、とほくと同盟して、身近なものを攻撃しろ、といふやうな単純な意味ではないです。全体を眺め、長期的な視野に立った上で、手をつけられるところから、みたいな意味だと思ひます(姑息な手段を使へ、といふ意味ではないです)。 無意味なことを記しました。ご容赦を。偉ぶってしまひ、すみませんゑん。
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言ひ忘れてゐたこと。
「先づ隗より始めよ」とは、「死馬の骨を買ふ」と、セットの言葉です。
とある王様が、千里の馬を求めて、使者を送ったところ、その馬がすでに死んでゐて、死んだ馬の骨を家臣が購入してきたので、激怒したところ(そりゃ、当たり前ですよね)。家臣は「死んだ馬でさへ、五百金で買ふのだから、生きてゐる馬ならどれだけ高値で買ってくれるだらうか、と評判になって、必ず馬が集まるでせう」と答へ、
果たして、一年たたずして、三匹の駿馬が集まってきた、といふ意味です。
それから、燕の昭王が郭隗さんのやうなつまらぬ人材から優遇しては、となり、楽毅(がくき)とか、有能な人材が燕の国に集まってきた、となるわけです。
つまり、この論理からすると、自衛隊を附記するが如き、つまらないところから改憲してみてはいかが、必ず実体のある改憲につながるでせう、となり、安倍のぽちであることを、積極的に肯定してゐることになります。
ちなみに、これを言ってゐる郭隗さんは、決してつまらない人物ではないです。(出典:戦国策)
似たやうな話に「沙中偶語」といふのもあり、
漢の劉邦が張良に、「みんなで砂の上で何か話してるけれども、何を話してゐるのだらうか」と尋ねたところ、張良は「謀叛の密談をしてゐるのです」と答へ、
その理由として、「恩賞が足りないから」と答へたわけで、
劉邦がその対策をたづねたところ、
張良は「ならば、陛下が一番恨みを持ってゐる、功臣は誰ですか?その人を諸侯として封じれば、『あんな奴でさへ、褒美を貰へるのだから、自分はもっと良い待遇をして貰へるだらう』と期待する筈です」といふ方策をさづけたら、
謀叛計画はぴたりとやんだ、といふやうな話です。
しかし、劉邦がその後したことは、功臣の大粛正でした。
ネトウヨと呼ばれる人たちや、安倍の太鼓持ちは、この話から何を学ぶのでせうか?
ちなみに、楽毅は斉(せい)の国をほぼ征服しましたが、国王が息子に代替はりしたあと、冷たくあしらはれて、斉の救国者、田単(でんたん)の離間策にかかり、国外追放させられた、となります。
「狡兎死して、走狗煮らる」とはかくの如きことを言ふのでせう。
「千里の道も一歩から」、ではない、「百里を行く者は九十里を半ばとす」といふことわざを、私たちは身に沁みて感じなければならないのかな、と思ひました。
山尾志桜里さんの改憲案に期待します。
「遠交近攻」といふ言葉も、とほくと同盟して、身近なものを攻撃しろ、といふやうな単純な意味ではないです。全体を眺め、長期的な視野に立った上で、手をつけられるところから、みたいな意味だと思ひます(姑息な手段を使へ、といふ意味ではないです)。
無意味なことを記しました。ご容赦を。偉ぶってしまひ、すみませんゑん。