Kaji のコメント

 真理は変わっていくの回、興味深く読ませていただきました。以下長文となります。

 私は小林先生の20年以上のファンで、最初にオンタイムで読み始めたのは雅子妃の回あたりだと思います。それから先生の言うところの「良き観客」であり続ける中で、オウム事件、薬害エイズ事件など、漫画と現実がシンクロする、梶原一騎のような(例えが古いか)感覚を体験させていただきました。
 その後旧ゴー宣の第1巻まで遡って買い揃えましたが、確かに通読すれば、先生も仰っているように、初期はいわゆるサヨク的内容が多かったのでしょう。SPAとの決別、西部邁との和解、戦争論の辺りから(旧来の区分けでは)右に変節したということなのかもしれませんが、私たち殆どの読者はその律儀な説明と説得力の裡に、それを歓迎して受け入れてきました。見限った読者がいたことを、先生は随分気にされているようでしたが、私たち読者の多くもまた同時に「変節」していったのです。
 民主党政権が盤石な政権基盤にある頃、先生は安倍や稲田を擁護する本を出されました。先生は過去の汚点と言われていましたが、確かにあの頃は(2010年は)失政続きの民主党はオゴリまくり、尾羽打ち枯らした自民党にもう一度チャンスを与えたいというのは一つの大義でしたし、実際その後震災で政権の無能さが晒け出されたことを考えますと、あの時点では正義の行動だったと思います。もちろん私はその時の選択が間違っていなかったと言いたいのではありません。むしろ後に安倍がこれほど権力に執着し、天皇を軽視し、米国に阿って国柄を破壊させていくにあたって、当時の大義は私たちの反省材料に変質していったと言いたいのです。この点では私たちは結果的に、己の不明を恥じなければならないのだと思います。
 かように真理や正義が時代と共に揺れ動く中で、歴史に耐えうる大義を分かり易く説いていくことは大変な戦いだと思います。世にコスパは蔓延り、思考のいらない政治談義のために政治家の不倫話が消費され、努力のいらない優越感のためにネトウヨ言説がまかり通っています。考えないのに反省しない人たちを変えさせるのは、本当に絶望的な戦いであるに違いありません。
 しかし少なくとも私たち昔からの読者は、変わりすぎる世の中を前に、先生と共に反省を受け入れ、変わりゆく真理を求めてきたことに互いの信頼を見いだしていると考えます。今流行りの言葉ではないですが、私たちは常に先生と共にあります。「それは典型的な小林教」と思考停止するしかない輩は、私たちの多くが「よき観客」であり続けている凄みに思いを到らせられないのだと思います(申し訳ないですが、私は道場に参加したことがなく、ライジング会員で新刊を楽しみにしているだけの観客です)。
 豹変する君子の真の君子たる力量と、己が野心のためのだけの二枚舌を見分けること、そういった能力を持つべく、これからも精進していきたいと思います。道場は家庭があるので行けませんが、成功をお祈りしております。

No.363 79ヶ月前

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