あまりお話したくないのですが、私には叔父がいました。叔父はもう半世紀近く前に「亡くなった」はずでしたが、数年前まで生きていたことが分かりました。「本当に」亡くなってからですが。

いや正確に言うと「死ぬまで」「亡くなったことにされていた」のでした。一生をそういう病棟で過ごしたそうです。彼の親以外はそのことは知らなかったのです。そして、今回の事件の顛末を聞くにつけ、こういったことは世間にザラにあるのだと思い至りました。

理不尽なことだと思います。しかし、どうすることもできないことが、世の中にはあるのかもしれません。そういうことに直面したときに、私には祈る以外の作法が思いつきません。