武藤 のコメント

>>20
戦後復興期のときは国民は農村共同体の倫理や規範を持っていました。経済成長政策によって瓦解したように見えても個人の感情や倫理観までは変えることはできません。経済成長が進めば進むほど、社会は巨大な心理的な不安に襲われます。
田中はその国民的不満を解消してくれるヒーローとして人気を博したのです。越山会は鉄の結束とも言われましたね。
日本列島改造論はベストセラーになりましたが、これは明治以来進められてきた東京中心政策をなくすということで国民にうけたんです。
「明治100年を節目に、都市集中はメリットからデメリットに変わった。美しく住み良い国土で将来を不安なく暮らしていく為には、都市集中を大胆に転換し、民族の活力と日本経済のたくましい余力を日本列島の全域に向けて展開すること」が日本列島改造論に書いています。
田中の発想は戦前にあった農本主義、都市と農村の対立という構図を破壊することから始めます。
農村を工業化、都市化にする。そうすれば、農村は農民の住む場所ではなく、都市同様に市民が生活する場に生まれ変わらせるというのです。全国に道路網、新幹線を走らせ、全国をまったくの同室の都市にする。そうすれば、人はどこでも住めるし、短時間で自由に往来できる。いままで農村に閉じ込められていたのを解放して、生活空間を圧倒的に広げてやろうということです。いままでは都市部しか食べれなかったパイを国民みんなで分かち合うことができる。一種のユートピア思想であり、設計主義ですね。だから、破綻したんですな(´Д` )
新幹線、道路網の発達により、大都市の集中は進み、過疎化は進展。農村部という江戸時代から戦後まであった共同体が崩壊。結局は大都市により大都市の為の計画になってしまったわけです。
みるみるさんが書いているように、資本主義を進めて物欲を満たせば、皆がハッピーになるということを田中も支持者も信じすぎていたかもしれませんな。

No.22 102ヶ月前

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