報道によれば退位は五年前からお考えになっていたとのこと。
五年前といえば東日本震災の頃でしょうか。

あれ以来、国民が為してきたことといえば、地震・原発の災禍も忘れたように目先の経済ゲームにいそしむばかり。挙句の果てには原発の再稼動を目論むわ、「事態はアンダーコントロール」などと恥知らずにも述べて五輪を招致し被災地域の予算・人員を奪うわ、軽薄の極みであったと思います。
まして皇室の存続についてはもはや破綻した論理を大声で述べる連中が議論を無効化し、国民の間でもなんだか不自然なほど意識の外にあったわけでした。

「国体」ということに思いを馳せることのない国民に対して、憲法に規定された権力との分断を誰より尊重して遵守されている陛下には、政治的行動に訴えるという選択肢は初めからなかったのでしょう。
それだけに、生前退位を選ばれるということの重さがより身に沁みます。