こいら のコメント

私はアメリカやイギリスなんかのパンクロックに影響を受けておりますが、例えばイギリスのprimal screamなんかは「country girl」という曲で「所詮はアメリカなんざ田舎者の芋姉ちゃん(country girl)とイラク戦争当時のアメリカやブッシュを強烈に皮肉っています。
アメリカのGREENDAYというパンクバンドも「American idiot」という曲で「バカなアメリカ人(american idiot)にはなりたくない」とやはりブッシュやイラク戦争を強烈に批判してます。
アメリカではないのですがあのAvril Lavigneでさえ「when you're gone」で戦争で兵役に取られて引き裂かれる若いカップルの様子をPV(プロモーションビデオ)で出して暗にイラク戦争を批判してます。
もともとパンクロックというものは体制に反抗的なフーリガンみたいな連中から生まれた音楽なので、欧米ではパンク=反体制、権力批判という図式が出来上がってるのです。
じゃあ日本はどうかと言えば、あの頃権力を批判してる歌詞はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「NO.9」くらいしか浮かばないです。それも「イラク戦争を防ぐためには日本国憲法を守ろう」という予定調和の中での反体制でしかないのですが。
日本で最も売れたパンクバンドはおそらくHI-standardです。嫌いなバンドではないのですが、彼らなんか「pentax」という曲で「税金を払おう(pay tax)」と歌ってるし…
2005年くらいに雨後の筍のように流行った青春パンクなんて、政治色のない若者の日常や恋愛の話を、ただパンクのサウンドに乗せただけの音楽です。おそらくその頃に10代だった若者が、今仮に政治的なメッセージが強い音楽に出会ったとしても嫌悪感しかないでしょう。
ただ日本の厄介なところは、反体制を標榜した表現をしてた人間が反体制側が与党になって権力を持つと権力側への批判をしなくなってしまうのです。だから単なる反体制ってだけの表現では浅いというか、主体性を持てないのです。
政治的発言を大っぴらにやることに対して、タブーに感じてる人は少なくないと思うし、ある意味それはこの世の中を渡るための知恵かもしれないのですが、政治的な表現までタブーになってしまうと、例えば権力が腐敗し庶民が苦しめられるような状況で、庶民が何を拠り所にすればいいのか分からなくなってしまうのです。
ただ政治色が強い表現すら、この国では資本主義・民主主義に逆らうことができないしそれが一番の問題だと思います。

No.160 103ヶ月前

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