田中康夫公式ブロマガ「だから言わんこっちゃない!」

「だから、言わんこっちゃない!」1月22日号

2013/01/22 05:08 投稿

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 最初に告知を2本。
先ずは本日発売「週刊SPA!」連載「その『物語』、の物語。」は、赤坂の外れの蕎麦屋「ながら」を紹介。「デザイン」とは何か、を語っています。
今週末には
にPDFでアップしますが、出来れば購入下さいませ。“長いモノに巻かれる”メディアが多い中で、気を吐いている週刊誌が「週刊SPA!」ですから、是非。

文中に「厚生労働省の発表で、生活保護受給者は昨年9月時点で213万人を突破。生活保護世帯数は155万世帯を超えています。平成元年には65万世帯でした。四半世紀も経たぬ内に2.4倍も増加。年間総額3兆7千億円。最低賃金よりも受給額が上回る都道府県が全体の25%」と記しました。
が、執筆・印刷・配本後の昨日21日に厚労省は、昨年10月時点で214万2580人、156万4301世帯と発表。9月時点は「正確」には213万3905人、155万7546世帯ですから、1ヶ月で8675人増、6755世帯増。
集計が始まった1951年=昭和26年以降で最多の数値。8月から9月に掛けての1ヶ月の増加数は2894人、2543世帯ですから、ニャンと3倍増と加速度的です。その昔のヴィデオ・デッキか、とオヤジな茶々を入れたくなります。
基本所得保証=BI(ベーシック・インカム)、基本労働保証=BW(ベーシック・ワーク)へと根底から変更せねば、持続不可能。それは、20年後には人口が1700万人、15歳~65歳の労働人口が1100万人も減少し、富士山型から逆ピラミッド型へと人口構造が激変する中で維持し得る筈もない年金制度も同様なのです。

にも拘らず、21日午前11時から首相官邸で開催された「社会保障制度改革国民会議」では、「暮らしの再生は内閣の重要課題だ」と冒頭に安倍晋三首相が挨拶するも、「自公両党は現行制度をベースにした改革を基本」。「有識者が社会保障の将来像を検討する」国民会議は「現行制度の範囲内で、給付抑制策や負担増を打ち出す方向で改革案が取りまとめられそう」と報じられています。

 こうした論調は下駄屋の豚児(とんじ)=竹中平蔵氏wを肯定的に扱う「日本経済新聞」だから、という訳ではなく、「朝毎読」の符丁(ふちょう)で知られる他紙も並べて、以下の「日経」の論調と同じ認識。
「自民、公明両党と民主党で考え方が異なる年金制度や高齢者医療制度で、どのような改革案を出すかが焦点」。「民主党は最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止を訴え、国民会議で検討してもらいたい意向だ」が、「民主党の主張に理解を示す(国民会議の)委員(を務める有識者)は少ない」って訳です。

 これは「答えありき」な一種の「出来レース」でしてね。委員というのは、所掌する大臣が選ぶ訳ではなく、霞が関の当該官庁が「人選」する訳です。彼らが導き出したいのは、繰り返し申し上げているように「問題先送り」。但し、何一つ「改革」しないのでは「世間」から叩かれますから、多少は「変更」したような素振りを見せるのに「協力」下さる「有識者」を選ぶ。
その限りに於いてはマスメディアも、「恣意的な人選」とは口が裂けても言わない。「バランスの取れた人選」などと阿諛追従(あゆ・ついしょう)する。でないと、役所の“お貸し下げ情報”を自分の社だけ貰い損ねちゃうと強迫観念に陥ってる訳ね。
 実は、そうした共同幻想以上の取材力や認識力や洞察力を持ち合わせていれば、「王様は裸だ」と看破しても“ノー・プロブレーム”。ところが、護送船団ならぬ「誤送船団・忌捨クラブ」体質に相応しい“横並び悪平等教育”の申し子としては、置いてきぼりが怖い。「自分」という「覚悟」や「矜恃(きょうじ)」、もっと直截(ちょくさい)に言ってしまえば、“キンタマ”を持ち合わせていないって事ですね(爆)。
 だから、国民よりも読者よりも役人を役所を向いて、“お貸し下げ”リリースをペーストした原稿を出稿する、僕だったら忸怩(じくじ)たる思いに駆られるであろう行為に痛痒(つうよう)を感じない。
ちょっと用法を間違えたかな、と只今「大辞林」で確認したら、「痛痒を感じない」は「少しも利害や影響を感じない。痛くも痒(かゆ)くもない」の意味だそうで、その意味では後半は当たっていますね。
否、前半も、他社に抜かれて上司に罵倒されたくない、と事勿(ことなか)れな公務員体質・銀行員体質な記者にとっては、「影響を感じない」で済む訳ですから、誤用ではないのかも(汗)。

話を戻すとw、安倍首相は以下の挨拶をしています

「社会保障制度改革国民会議は、(社会保障制度)改革推進法に基づき設置されたものであります。
 我々が改革推進法を作ったのは、少子高齢化が進展する中で安定財源を確保しながら、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を構築し、暮らしの安全を取り戻したいという強い思いからであります。
 暮らしの再生は、経済の再生、外交・安全保障の再生、教育の再生と並んで、安倍内閣の重要課題と位置付けております。
 したがって、安倍内閣としても3党合意に基づき、一体改革をしっかりと進めることをはじめ、安心社会を作り始めるために、全力を尽くしていく所存であります。
 委員の皆様におかれても自助・自立を第一に、公助と共助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと、援助の手を差し伸べるという基本的な考え方の下、貴重な財源を有効に活用しつつ、誰もが安心できる、持続可能な社会保障制度を確立することを目指して、改革推進法に基づき、しっかりと議論をされるよう、よろしくお願いいたします。」

 無論、「事務方」が作成した挨拶原稿をベースに喋っているのでしょう。
が、その中で言及された「貴重な財源を有効に活用しつつ、誰もが安心できる、持続可能な社会保障制度」は、今一度、復唱しますが、「基本所得保証=BI(ベーシック・インカム)、基本労働保証=BW(ベーシック・ワーク)へと根底から変更せねば、持続不可能。それは、20年後には人口が1700万人、15歳~65歳の労働人口が1100万人も減少し、富士山型から逆ピラミッド型へと人口構造が激変する中で維持し得る筈もない年金制度も同様なのです」。

が、「フェア・オープン・シンプル・ロジカル=公正で透明で簡素で理に叶った」制度であるBIやBWは、強きを助け・弱きを挫く「裁量行政」の中で生息している族議員や族団体を「消滅」させてしまう極めて過激=ラディカルな「思想」ですから、従来型の古いOS=心智、即ち問題先送りの霞が関(官界)や永田町(政界)、更には大手町(財界)の住民にとっては是が非でも阻止せねばならぬ代物です。
 本当は、BIやBWこそが、国民にとってもハッピーなアウトカム=成果を齎(もたら)し、「弱きを助け・強きを正す」程良い規模の「小さな政府」を実現するのにね(涙)。
無論、霞が関にも「大増税・TPP・放射能」に関する認識も含め、僕と考えを同じくする有為な人間は少なからず存在するのですが、でも、悲しい哉、「問題先送り」を決め込む、そうして、「既得権者」にとって痛痒を感じない「改革」の振りをする面々から、パージ=公職追放wされていっちゃう訳です。
「政官業」の利権分配トライアングル&「政官業学報」の現状追認ペンタゴン、と知事時代に僕が命名した構図は、ニャカニャカ手強(てごわ)いのです。何せ、利権を求める面々は、理念を求める人間よりも真剣=必死ですから。


安倍晋三首相は21日、年金や医療の将来像を議論する「社会保障制度改革国民会議」の第3回会合に出席し、改革の進展に意欲を示した。安倍政権での開催は初めて。委員からは安倍政権が70~74歳の医療費自己負担を1割に据え置いている現行の特例措置を当面継続したことに批判が上がり、給付抑制策に取り組むよう注文が付いた。
 首相は「持続可能な社会保障制度を構築し、暮らしの安心を取り戻したい。暮らしの再生は安倍内閣の重要課題だ」と表明。「安倍内閣としても(自民、公明、民主の)3党合意に基づき、一体改革を進める」とし、設置期限の8月までに議論を取りまとめるよう要請した。


政府は21日午前、政権交代後初めてとなる社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)を開催し、改革論議を再開した。与野党間で見解の隔たりが大きい年金、高齢者医療の扱いをはじめ、今後の社会保障制度の在り方を設置期限の8月21日までに取りまとめる。
 安倍晋三首相は冒頭、「安倍内閣としても(社会保障と税の一体改革に関する)民主、自民、公明3党合意に基づき、一体改革をしっかりと進めることをはじめ、安心社会をつくり上げるために全力を尽くしていく所存だ」とあいさつした。この日は、会議を2月に2回程度開催し、経済界からヒアリングを行うことを決めた。 

「8月21日」という「参議院選挙後」に設定されている辺りが、絶妙な日程表ですねw。
実は「共同通信」の配信記事には続きがあって、僕が把握する限り、「e-WISE」と称する共同通信の会員制サイトにのみアップされています。

西沢和彦・日本総研上席主任研究員は「高齢化で財政的に厳しい話は避けられない。70~74歳(の医療費窓口負担)の話は残念だ。今夏の参院選が近づくほど国民会議が緩くならないように厳しい話をしておくべきだ」と強調し、適正な国民負担について議論を求めた。
 大日向雅美恵泉女学園大大学院教授は「今後10年間を子育て支援の加速期間と位置付け、集中的な施策を講じてほしい」と求めた。
 会長の清家篤慶応義塾長は「医療、介護を優先的に議論すべきだとの意見が多かった。あと7カ月で具体的な提言をしたい」と述べた。
1/21 12:42

僕が5年w掛かって法学ならぬ阿呆学部wを卒業した大学の社会学部出身らしき西沢和彦氏は

日本総研というのは、(株)日本総合研究所
三井住友フィナンシャルグループの組織です。

「今後10年間を子育て支援の加速期間と位置付け、集中的な施策を講じてほしい」と“明後日な御高説”を宣った大日向雅美氏は、この手の審議会に「重宝」な御仁ですね。大分以前にシンポジウムで僕も同席した時にも、この手の毒にも薬にもならぬ抽象的な御発言ばかりで、頭が痛かった記憶が甦ってきました。誤用学捨、おっと失礼、御用学者ですね。

 はてさて、昨日の「社会保証制度改革国民会議」第3回会合は、麻生太郎氏の“お約束”発言が耳目を集めました。
 断片的に報じられていますので、「あとは、自分で考えなさい。」って事で、取り敢えずはアーカイヴとして再録しておきます。


麻生太郎副総理の終末期医療に関する発言と、その後の説明やコメントの要旨は次の通り。
 【社会保障制度改革国民会議】現実問題として、いま経費をどこで節減していくかといえば、もう答えは多くの学者は知っている。残存生命期間が何カ月かと、それにかける金が月に一千何百万円だという現実を、厚生労働省も一番よく知っているはずだ。チューブの人間だって、私は少なくとも遺書を書いて、そういうことをしてもらう必要ない、さっさと死ぬからと書いて渡しているが、そういうことができないと、死ねません。死にたいときに死なせてもらわないと困っちゃう。いいかげん死にたいと思っても「生きられますから」なんて生かされたんじゃかなわない。しかも政府の金でやってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと。
 【記者団への説明】個人的なことを言った。終末医療のあるべき姿について意見を言ったのではない。一般論でないのは(議事録の)文章を読み返してみてもはっきりしている。
 【発表したコメント】個人の人生観を述べたものだが、公の場で発言したことは適当でない面もあったと考える。当該部分については撤回するとともに、議事録から削除するよう申し入れる。
1/21 17:04

 で、お待たせしました!「告知その2」です。 

「ニコニコ動画」が誇るワイン好き、と「番宣」に記されている夏野剛氏と、「週刊モーニング」連載「神の雫」原作者・亜樹直(あき・ただし)=樹林伸(きばやし・しん)氏が、江口ともみ嬢の進行で繰り広げる番組。
タイムシフト予約も可能。
 ワインを1本、持参下され、という話ですので、イタリアの逸本を持ち込む予定。
当ブロマガ昨日21日号
で言及の原産地呼称管理制度も復習下され。

 さてはて、何故にボーイング社トップは会見しないのか、何故に日本のみならずアメリカのマスメディアも会見を求めないのか、と喝破した当ブロマガ20日号
は,多くの皆々様から「御意」メールを頂戴しましたが


【1月21日 AFP】
米国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board、NTSB)は20日、米ボストン(Boston)で今月7日に起きた日本航空(Japan Airlines、JAL)のボーイング(Boeing)787「ドリームライナー(Dreamliner)」の出火トラブルについて、原因はバッテリーの過充電ではなかったと発表した。
 問題のJAL機のフライトレコーダーを解析した結果、補助動力装置(APU)のバッテリーは設計された電圧の32ボルトを超えていなかったことが分かったという。NTSBは組み立てられた状態のバッテリーやそれを分解した部品をX線で調べるなどして詳しく調査していくという。
 全日空(All Nippon Airways、ANA)のドリームライナーが高松空港に緊急着陸した問題では、機内で煙が発生した主な原因としてリチウムイオンバッテリーの問題が指摘されていた。(c)AFP


[京都/東京 21日 ロイター]

国土交通省と米連邦航空局(FAA)は21日、米ボーイングの787型機に電池を供給するジーエス・ユアサ コーポレーションの本社に立ち入り検査に入った。発火などのトラブルが起きたリチウムイオン電池の設計・製造の過程で妥当な作業が行われているか調べる。GSユアサの広報担当者は、調査に全面的に協力するとしている。
検査に入ったのは国土交通省から1人、FAAから2人。GSユアサによると、航空機用電池の製造ラインなどがある施設を視察している。検査時間など詳細は分からないという。
787型機はトラブルが多発している。7日には米ボストン・ローガン国際空港に駐機していた日本航空(JAL)の機体で発火事故が発生。16日に高松空港に緊急着陸した全日本空輸(ANA)の機体に積まれていた電池は黒く変色し、内部から液体が漏れていた。FAAは電池の安全が確認されるまで787型機の運航を停止するよう航空各社に指示。各国の当局もこれに続き、787型機は世界的に運航が止まっている。
ANA機のトラブルを調査している日本の運輸安全委員会(JTSB)は、電池について過剰な電流や電圧がかかり、内部の液体が過熱して噴き出した可能性があるとの見解を示している。
一方、ボストンで発火したJAL機を調べている米運輸安全委員会(NTSB)は20日、フライトレコーダー(飛行記録装置)のデータを解析したところ、問題となった補助動力装置(APU)用電池に過剰な電圧はかかっていなかったと発表した。充電装置や補助動力装置(APU)にも調査対象を拡大する。
ANA機とJAL機に積まれていた電池はGSユアサ製で同じもの。仏タレスの電源管理システムとともにボーイングに納入されている。

(ロイターニュース 長田善行、杉山健太郎、久保信博:編集 内田慎一)
の2本を最後に御紹介。

ユアサには立ち入り検査するのに、昨日21日号でも指弾した東京電力には未だに赴(おもむ)かないのかぁ、とツイッターやブログでは「強きを助け・弱きを挫く」日米権力への憤怒(ふんぬ)が飛び交っております。
 が、見出しは「立ち入り検査」のロイターも、AFP同様に、どうも原因はGSユアサのリチウムイオンバッテリーの過充電ではなく、ボーイング社の配線ミス等ではないか、と米国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board、NTSB)が“暗喩(あんゆ)”していると行間に漂わせているのが秀逸です。
 この辺りが、NTSBの“仕事振り”も含め、全てを権力が制御=コントロールし切れない面白さですね。
 ではでは、今夜の生放送&明日23日(水)16時~1時間半の「あとは、自分で考えなさい。」無料生放送でお目に掛かりましょう。
猶、AFP通信はAgence France-Pressの略です。


(2013/1/22)

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