━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
山田玲司のヤングサンデー 第149号 2017/8/21

「心のブス」は倒せるか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

他人が羨ましい。


自分はこんなにがんばっているのに、報われるのはいつも他の誰か。

そんな誰かが憎たらしい。あんなやつ死ねばいいのに。

どうにかしてあいつが不幸にならないか・・・


「そんなことを考えるのは止めよう」なんて、頭では考えるけど、それが本当に止められるかどうか?といえば、そんなに簡単じゃない。


「少女革命ウテナ」の黒バラ編で、「敵」になるのはそんな「人の気持ち」です。


どうしようもない「嫉妬」「妬み」「憎悪」「復讐心」みたいなものが「黒バラ」という象徴的な花になる、というのが「黒バラ編」なのです。


そんな「憎悪の象徴」の黒いバラを切り裂くのが、中盤のウテナの役目なんですねー。


ウテナによって「黒バラ」を散らされたキャラクターは、心理的に開放されて「まるで別人みたい」に明るくなる。


「心のブス」をやっつけるのが「ウテナ」!


それが「少女革命」!


面白いのは、それまでの「敵」は自分の外にあったのに。この時期のアニメから「敵」は「自分の中」にある、みたいな感じになってくることです。


夏目や太宰などの文豪が扱ってきた「私の敵は私自信なのです・・」みたいなテーマを「美少女変身アニメ」に持ち込んでいるのが「ウテナ」なんですねー。





確かに人を妬んでいても良い事なんかない。


周りは敵ばかりになるし、とにかくその「心の醜さ」が顔に出てしまう。


「それ」をエンジンにしたらいい、なんてのが落とし所だと思うし、そもそも「人と自分を比べる」のが無意味だっていうのも永遠の真理でしょう。


でもそれが難しい。


人間ってのはそもそも「そういうもの」だからです。



a2b13827bb0ec30b71df5638687290d26a471778

興味深いのは、その「心のブス」を倒すウテナという「少女の力」は「永遠を求めるあの日の思い出」だという点です。