いなほ のコメント

かこつです。
私がお薦めするのは「宮沢賢治の元素図鑑 作品を彩る元素と鉱物」(著者:桜井弘 出版社:化学同人)です。

銀河鉄道の夜、セロ弾きのゴーシュ、注文の多い料理店など、宮沢賢治の作品は、誰もが一度は目にした事があると思います。
彼の書く文章には多くの鉱石が出てきます。
例えば銀河鉄道の夜の一節、"ダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫とれないふりをして、かくして置いた金剛石こんごうせきを、誰たれかがいきなりひっくりかえして、ばら撒まいたという風に、眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼を擦こすってしまいました。"。
ここで出てくる金鉱石など、ある程度有名なものならば、ばっと情景が出てきて一気に物語の世界に引き込まれる事でしょう。
しかし彼の文書を幾つか読んでいると、猫錆石や蛋白石など、「文字から想像する事ができるがはっきりとは分からない」例えに出会った事も少なくないのではないでしょうか。(オスマンさんは知識の深い方というイメージがあるので、「そんな事ないわ!」などと言った感想を持たれたらすみません……)

本書は、そのような不思議な鉱物や元素を、写真付きで作品やエピソードと共に紹介してくれます。
元より宮沢賢治の作品が好きな方は、彼の世界観に対して解像度が上がり、その美しさに引き込まれるのではないでしょうか。
また「文体が自分に合わず好みではない」という方も、普段見かけない、珍しくも美しい鉱石に心を奪われる事でしょう。

時間が無ければパラパラと図鑑を捲る様に眺めるのも良いですし、ゆとりが有れば原作に立ち戻ってみるのも良いかもしれません。
様々な楽しみ方の出来る「宮沢賢治の元素図鑑 作品を彩る元素と鉱石」を手に取ってみて下さい。

No.131 46ヶ月前

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