さくさくスコーン のコメント

かこつです。

ビブリオバトルの言葉で飛んできたものです。

私からは小説「カゲロウデイズ」をおすすめさせていただきます。


当時の中高生を魅了したカゲロウプロジェクトの小説です。
音楽は聞いたことがあるという方が多くいらっしゃると思いますが、小説では事細かに世界観を表現しています。

今まで作曲はしたことがあるが小説を書いたことのない作者なので1巻~4巻までの表現が稚拙ではあります。
ですが、5巻から表現が上達していく様子を感じることができ、楽しむことができます。
表現力が成長する様子をみられる小説はなかなかいないと思いますので一見の価値はあります。


物語のあらすじは、2年間引きこもっていた家からお盆休みで取り寄せのできないキーボードを買いに家から出ます。そこで、出会った目が赤くなると不可思議な力が使える人々が集うメカクシ団に出会います。不可思議な力の謎を追うと、主人公の過去の悲劇と結び付いていくという話です。


よく言われるイメージだと超能力、厨二です。たしかに不可思議な能力はそれらを想起しますが、この小説のテーマは「友情」です。

友達の友達、知らないはずの人、友達と呼べなかった人。

様々な子供達の社会問題や人間関係の問題を抱えている少年少女たちが出会い、お互いに影響して成長していく姿が描かれています。

ティーンズ向けで友情と言えば和気あいあいとしながら主人公や仲間、その人自身がその人物の暗い過去を知って、解決していくことが多いと思います。

しかし、この小説では一対一で感情に向き合い、解決することが多いです。
お互いの感情と向き合って行動するのでその二人の友情がどのようなものなのか明確にわかるようになっています。

ギスギスしているものや腐れ縁など多様で様々な友情の形をみることができます。
人間関係の多様性がきっちりしているので、違いを感じ取れて面白いです。


そして、私はこの本には「家族愛」と「兄弟愛」の形についても考えさせられる小説だと思っています。

突然家族・兄弟になった存在との関わりかたの難しさや葛藤の描写があり、不器用でたしかな絆を結んでいく過程が切なく心に響きます。

それと対比するように血の繋がった家族との関係が多用で、問題を抱えているものもあれば平和なものまであり、家族の形について考えさせられます。

また、あちらこちらに伏線がちりばめられており、小説が完結した3年後の今でも読み返して新たな伏線に気がつくことがあり、何度読み返しても楽しい作品です。


カゲロウプロジェクトが今年で10周年を迎える今だからこそあの時の友達と向き合ってみてはいかがでしょうか。

初めて知ったという方は、新たな友達に会いに行ってはどうでしょうか。



ちなみに今年の目標は「色鉛筆と和解すること」です。今年こそ色鉛筆描く絵に自分自身が納得したいです。

No.126 46ヶ月前

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