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──AKB48選抜総選挙の速報が発表されました。この速報は投票開始の翌日に発表されるものですが、このような驚きの結果になった理由としては、何が考えられるんでしょうか?

 劇場盤CDに総選挙の投票券が付くようになるなど、投票に関するルールが変化した影響が強く結果に反映されるようになった結果と言えます。一言で言うと、もっぱらテレビメディアを通じてAKB48に触れているライトなファン層ではなく、握手会や各地の劇場に足繁く通うディープなオタの民意のようなものが、票に反映されやすくなっているということですね。特に速報に限って言えば、マニアックな層が票をぶっ込んでいるようです。

 これは今後のAKB48のあり方についてもとても大きな変化だと思います。なぜならば、もともとやはりAKB48の最大の特徴はユーザー参加型のイベントになっていることです。作り手によって完成されたものを受け取るのではなく、ファンの能動的な参加があって初めて成り立つ仕組みになっているのが、AKB48が他のアイドルとの最大の違いです。選抜総選挙は、こうした参加型のイベントの中でも最大のもので、AKB48という文化現象の象徴です。これはテレビや雑誌でしかAKB48を知らない人には見えない側面だと思う。しかし、ここ2年あまりのAKB48はテレビや雑誌で彼女たちを知ったライトなファンの方が多くなり始めている。その傾向は選挙結果にも如実に現れていて、特に去年の総選挙では前田敦子の卒業を機会に世代交代の空気がファンコミュニティの間では非常に濃厚だったにも関わらず、上位陣にはほとんど変動がなかった。これは明らかに数万票のレベルでの競争になる選抜メンバーにおいてはテレビで毎日のように露出している既存の選抜メンバー上位(いわゆる神7や神8)が、ライト層の票を広く薄く獲得し、有利に集票した結果だと考えられます。

 AKB48の活動の基盤はあくまで劇場公演や握手会といった現場にあります。しかし、去年までのルールではこの現場に足を運ぶファンの声が反映されにくいルールになってしまっていた。AKB48が「テレビのもの」になってしまっていてこれでは普通の芸能人と変わらないのではないか、と不満を覚えていた人が少なくないはずです。しかし、今回のルール改正は明確に現場に足を運ぶファンたちの民意を反映されやすく改正されている。この選挙でファンたちは、AKB48をテレビから取り戻すつもりで挑むべきだと思いますね。もともと総選挙自体が、秋元康さんの独断で決定されていた選抜メンバー決定に自分たちの意見を強く反映させたいという要請があって、このファンコミュニティの空気を知った運営サイドがそれを逆手に取って一年に一度のビッグイベント兼ビジネスチャンスに仕立てあげたものです。だから、ファンもこの運営の思惑に乗っかりながら逆手に取るような戦略が発揮できると活性化していくでしょうね。

 昨年前田敦子さんが卒業して、AKB48はもう終わりだ、終わって欲しいという言説がたくさん見られました。こうした言説の背景にはAKB48が普通のテレビタレントグループだと思われているという事情があると思う。でもそうじゃないんだということを証明すべきでしょうね。実際シングルの売上も伸びているし、速報の大波乱もあって、おそらくこの選挙は過去最高に盛り上がっている。この盛り上がりを維持したまま、AKB48の第二章が展開していくと面白いでしょうね。

──マニアックな層というとどういったことでしょうか。

 2ちゃんねるやまとめサイトを見ていると、ファンコミュニティが「速報に間に合うように票をぶっ込んで勢いをつけよう」というふうに結束しているメンバーが、速報で上位に来ていることが分かります。ファン同士の結束が固いメンバーが強いということですね。

──速報に間に合うように票を入れることには、どのような意味があるんでしょうか。

 一つは、あまりランクインが期待されていない研究生が速報の順位に入ると、どうせ死票になるからと言って投票を避けていたファンたちからの支援が受けやすくなります。
 また、単純に知名度を向上させる狙いもあるでしょう。例をあげると、SKE48の柴田阿弥がその典型だと言えます。最終的には上位に来ないとしても、速報で8位というとんでもない順位をマークすることで、すでに多くのファンとマスコミにその名を知らしめました。この記事でもこうして名前が挙がっているわけですし、速報でぶっ込んだファンたちの作戦は十分成功したと言えるでしょう。

──さっしーこと指原莉乃さんの1位が印象的でした。

 指原の速報1位は正直驚きました。速報にすぎないといえばその通りなのですが、やはりあれだけの票数を速報までのたった1日で獲得した指原はすごい。あの順位は、プロデューサーとしての彼女に対する評価票です。九州の地方アイドルの勢いを横目に見つつ、そこまでブレイクしきれていなかったHKT48が盛り上がったのは、指原の功績と言える。そんな、HKTのプロデューサーとしての彼女への評価が、濃いオタたちの関心を買ってあの順位を叩きだしたわけです。

──指原さんがAKB48のセンターになるんでしょうか?

 とはいえ、最終的な順位で1位というのは厳しいかもしれないですね。なにせ、まゆゆのファンたちは、優子さんならともかくさっしーには負けられないという気持ちで焦っているでしょうから。優子さんの強さも相変わらず健在です。

──速報はこのような結果でしたが、最終的な順位はどうなるんでしょう。