青山ブックセンター本店・店長の山下優さんが綴る連載『波紋を編む本屋』。今回は、ついに青山ブックセンター本店からの出版計画が語られます。山下さんが考える、「書店が出版社になること」の意義とは?
前回の連載では、書店の棚を作るために、書店員がどう感度・アンテナを高く持つか、考えてみました。
今回のテーマは、出版についてです。はじめは、なぜ「書店」が出版するのかを考えていこうと思ったのですが、この連載を続け、それ以外にも色々な方にインタビューの機会を頂くうちに、もはや書店を「書店」と一括りにすることは難しいという思いを強めることになりました。チェーン店、個人の方が経営する書店、カフェに併設された書店、またカフェや他のテナントの収入がメインの書店、入場料が必要な書店、とあらゆる形態に細分化していく、現在の流れは必須だと思うからです。書店はどこに行っても、どのような形になっても書店であると、もともと強く感じていたので、「書店」の定義が曖昧になっていくことは、個人的にはとても良いことだと思っています。
では、なぜ青山ブックセンター本店が出版するのか。きっかけは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんです。書店は粗利を大きくすることを考えることが必要なのではないか。そのために書店自ら出版を始めるのはどうか、と小倉さんから提案を頂きました。ちょうど色々やりきったなあと感じていた時期だったので、まさに目から鱗の気分でした。その場で、藤原印刷さんをご紹介頂き、予算を組む中で、書店が出版することで、粗利が大きく得られることが具体的にわかってきました。
このように、当初は粗利の面のみにフォーカスしていましたが、出版する意義をより突き詰めていくと、その理由は3つ挙げられます。
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