平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。ビールの一気飲みはできないが、鮎と鮑の一気食いならできるという敏樹先生。鮎料理の逸品を食べにでかけた銀座の店で遭遇した、とある美女のエピソードに思いを馳せます。
男 と 食 20 井上敏樹
さて、別にいい子ぶるわけではないが、私は金で女を買う事が出来ないタイプの男であり、また、ジョッキの生ビールの一気飲みが出来ない。何も関係がないではないか、と言われそうだが、このふたつの事柄は私の中でイメージが一致している。まず、私は見ず知らずの女性と性的関係を結ぶのが恐ろしい。相手がどんな闇を抱えているか分からない。行為の最中、怪人に変身したら、どうやって戦えばいいのか。また、こういった心配を一切無視してデリヘルとかで女性を部屋に呼んだとしたら、私は大層気を使うであろう。派遣の女性が不快にならぬよう、普段は足の踏み場もない部屋の掃除をする。シーツを替える。新しいタオルを用意する。お茶をいれる。ケーキも出そう。全く面倒この上ない。
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