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『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』
ーー“月9史上最低視聴率”の9文字で烙印を押すな!
「他者のために生きること」を描いた良作
(岡室美奈子×宇野常寛)
【月刊カルチャー時評 毎月第4水曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.5.25 vol.600
今朝のメルマガは、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』をめぐる岡室美奈子さんと宇野常寛の対談をお届けします。ドラマファンの心をつかんだ一方で、平均視聴率は9.4%と振るわなかった『いつ恋』。同作が描こうとしたたものと、テレビドラマを取り巻く状況について語りました。(初出:
「サイゾー」2016年5月号(サイゾー))
▼作品紹介
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』
プロデューサー/村瀬健 脚本/坂元裕二 演出/並木道子ほか 出演/高良健吾、有村架純、高畑充希、坂口健太郎、森川葵、西島隆弘ほか 放映/16年1~3月、フジテレビ月曜21:00
故郷・福島から上京し、引っ越し屋で働く練(高良)は、友人の晴太(坂口)が持ち帰ってきてしまったカバンに入っていた手紙を返しに、北海道へ向かう。持ち主は、母を亡くし養父母のもとで暮らす音(有村)だった。出会ってしまった2人を中心に、現在の東京を舞台にそれぞれが生きる群像ラブストーリー。
▼対談者プロフィール
岡室美奈子 (おかむろ・みなこ)
早稲田大学演劇博物館館長、文化構想学部教授。専門はベケット論、テレビドラマ論、現代演劇論など。
◎構成:橋本倫史
岡室 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(以下、『いつ恋』)は、とても良いドラマでした。坂元裕二さんの月9だけに「王道ラブストーリー」を期待した人も多かったと思いますが、実は本作で一番大事にされていたのは「他者のために生きられるか」ということだったと思う。なぜ音ちゃん(有村架純)と練君(高良健吾)の恋愛がすんなり成就しないかというと、2人とも他者を優先してしまって、自分のことを後回しにするからなんですよね。若年層の貧困やブラック企業、介護の現場などいろんな社会問題を盛り込んで、何も持たない人たちが、いろんなところでつらい目に遭いながらも、どこまで他者のために生きられるのかを描こうとしていた。そして音ちゃんと練君は互いにそうであることがわかるから、つながっている。恋愛ドラマではあるんだけど、一緒にいるとか2人で幸せになることよりも優先されることがあるんだ、というのがすごく強いメッセージだったと思うんです。それは坂元作品の『それでも、生きてゆく』【1】との連続性を感じる部分で、あの作品は最後まで2人は結ばれないけど、でも心はつながっている、という終わり方だった。それと似ている。
でもたぶん今はそういうことが理解されにくいから、『いつ恋』の視聴率は振るわなかったんじゃないかと思います。自分のことは置いておいて他者を大切にする人という存在がほとんど絶滅危惧種になっていて、そういう人たちへの想像力がうまく働かないせいで、あの2人の恋愛が成就しないことがなかなか理解されなかったんじゃないでしょうか。普段からドラマを観ている人でも「なんかイライラする」と言っていて、そこがすごく切なかった。
【1】『それでも、生きてゆく』:出演/瑛太、満島ひかりほか 放映/11年7~9月(フジ)
子どもの頃に妹を殺された洋貴(瑛太)と、その犯人であり洋貴の友人だった少年の妹・双葉(満島)が、悲劇を越えてどうにか生きてゆこうとする姿を描く。平均視聴率は9・3%だったが、ギャラクシー賞ほかを受賞。
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