マル激!メールマガジン 2015年8月26日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第750回(2015年8月22日)
このまま普通に原発を再稼働していって、本当にいいのだろうか
ゲスト:吉岡斉氏(九州大学大学院教授)
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九州電力川内原発の1号機が粛々と再稼働された。確かに安倍政権は原子力規制委員会が新規制基準に適合すると判断した原発については再稼働を進めることを、選挙公約に掲げていた。また、不完全とはいえ福島原発事故以降、安全基準が強化されたことも事実だ。
しかし、何かがおかしい。つい4年前に、今まだ収束をみない未曾有の原発大事故を経験した日本が、原発政策の是非をめぐり大論争を繰り広げ、最終的に政治が、やむにやまれる苦渋の決断として原発の再稼働に踏み切ったというのであれば、賛否は分かれるにせよまだわからなくはない。しかし、重大な決断でなければならないはずの原発再稼働が、実に粛々と行われてしまったことには、何とも言い得ぬ違和感を禁じ得ないのだ。
科学技術史や科学技術倫理が専門で、政府事故調査委員会の委員を務めた吉岡斉九州大学教授は、本当に条件が整っているのであれば再稼働は認めるという立場を取りながら、今回の再稼働はあり得ない決定だったと、これを批判をする。その理由として吉岡氏は、何よりも国民の多数が脱原発の意思表示をした以上、政府はそれに対応して原発を最終的にゼロに持って行くプログラムを示す必要があると指摘する。
かつて原子力は夢のエネルギーともてはやされたが、結局のところ安全対策やインフラの整備にかかるコストが莫大で、安全性の確保も困難だったことなどから、電力を起こすためだけの、「素性の悪い技術」(吉岡氏)だったことが明らかになっている。合理的な政策判断をすれば、脱原子力を目指すのが妥当なはずだが、一旦ステークホルダーによって強固な「村」が形成されてしまうと、簡単には止まらなくなってしまうのが実情だ。
吉岡氏は日本が今も合理性に欠ける原発政策を継続している理由は、安倍政権の姿勢によるところが大きいと話す。これは原発政策に限ったことではないが、安倍政権は国民ではなく、ステークホルダーを見ながら政治を行っていると吉岡氏は指摘する。
今回の再稼働は合理的な政策判断だったのか。日本は「原子力村」というステークホルダーのために、陳腐化した20世紀の遺物とも呼ぶべき原発をこれからも続けていくのか。どこかで政策転換を図るチャンスは訪れるのか。川内原発の再稼動から見えてくる日本の難点を、ゲストの吉岡斉氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・幻想だった「夢の万能エネルギー」
・ステークホルダー以外にまったく興味のない安倍政権
・六ヶ所再処理工場を止めることも、本当はできる
・原子力という“構造不況産業” 再稼働は落胆すべきことではない
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