マル激!メールマガジン 2015年5月13日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第735回(2015年5月9日)
知っているようで知らない魚の話
ゲスト:生田與克氏(築地魚河岸マグロ仲卸「鈴与」三代目)
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日本の魚に大変なことが起きている。
にもかかわらず、われわれは事の重大さをよく理解しないまま、毎日魚を食べている。確かに日本は島国で周囲を海に囲まれていることから、豊富な水産資源に恵まれている。日本が自由に魚を獲ることができるEEZ(排他的経済水域)の面積は世界第6位を誇り、しかもその中に世界3大漁場と呼ばれる魚の宝庫の2つを抱える。
しかし、世界の中で日本の漁業だけが、危機的な状況を迎えているという。日本は世界で最も多く魚を食べる民族だ。国民一人あたりの魚の消費量は年間51キロにのぼり、人口100万人以上の主要国の中で2位以下を大きく引き離している。しかし、その一方で、日本の漁獲高の方は1984年の1,282万トンをピークに減少の一途を辿り、2013年にはピーク時の3分の1の479万トンまで落ち込んでいる。問題は日本の漁獲高が減っているその理由だ。
端的に言うと日本では魚が捕れなくなっているのだ。しかも、その原因もほぼはっきりしている。他でもない乱獲だ。なかでもクロマグロは、正に危機的状況にある。築地の魚河岸で、マグロ仲卸業を営む生田與克氏は、「しゃれにならない状況」だと話す。日本ではなるべく低価格のマグロを手に入れるために、大型の成魚だけではなく、幼魚も一網打尽で乱獲されているという。それでは将来の親魚がいなくなり、その魚種が絶滅してしまうリスクも高まることは自明だ。
解決策ははっきりしている。乱獲をやめることだ。水産資源の持続可能性を維持するには、魚の種類ごとに科学的な知見に基づいた持続可能性を維持できる漁獲量(ABC:生物学的許容漁獲量Allowable Biological Catch)を算出し、 その範囲内に漁獲可能量(TAC:Total Allowable Catch)を制限するしかない。日本もこの制度を導入してはいるが、日本ではABCを決めても、それを大幅に超えた数値がTACとして定められてしまうなど、その運用は「全くデタラメだ」と生田氏は批判する。
まずは我々一人ひとりが、もう少し魚を知ることで、魚への関心を取り戻し、その文化を守り育てていく必要性を感じられるようになること。そこから始めなければ、漁業資源の保護などおぼつかない。築地魚河岸の現場で日本の魚の現状をつぶさに見てきたゲストの生田與克氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・魚はどうやって食卓に届くのか
・“洒落にならない”マグロの現状
・持続可能性を無視する、日本漁業の無責任さ
・消費者が“魚を捌く”ことから始めるしかないのか
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