遠藤誉氏:チャイナマネーに買われる香港の民主主義
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マル激!メールマガジン 2014年10月29日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第707回(2014年10月25日)
チャイナマネーに買われる香港の民主主義
ゲスト:遠藤誉氏(東京福祉大学国際交流センター長)
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香港で民主化を求めるデモが続いている。今回のデモは8月31日に中国政府が発表した、香港の行政長官選挙の新制度案に反発した市民たちによるもの。現行制度では一部の特定団体に所属する1200人の選挙委員によって行政長官選挙は行われているが、北京政府は2007年に一人一票の民主的な選挙制度の導入を約束していた。ところが、今回、中国政府が示した新制度案は、投票権こそ全有権者に与えられるものの、候補者は事実上、中国政府の意に沿う者に限られるという、上辺だけの普通選挙に過ぎないものだった。
デモの発生から1ヶ月が過ぎても、香港政府は新制度案は覆すことはできないという立場をとり続けている。中国国内情勢に詳しい東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉氏は「中国は50年後の2047年に向けて一国一制度に移行するための準備を着々と進めているに過ぎない」と指摘する。中国への返還から17年が経った今日、香港の指導層や経済界は、中国との交易から多大な恩恵を受けていて、もはや香港経済は中国の存在抜きには成り立たない状況にある。遠藤氏はこうした香港の状況について「チャイナマネーが民主主義を買っているに等しい」と指摘する。そして香港が一国一制度から逃れるためには、中国の共産党独裁体制が崩壊する以外にあり得ないとの見通しを示す。
97年の香港返還当時、英国をはじめとする欧米各国は、中国の共産党一党独裁体制はいずれは崩壊するだろうと、高を括っていたふしがある。しかし、返還から17年が過ぎた今、中国の国力はより一層強くなり、国際社会はもはや中国が香港を取り込む準備を始めても、手出しはおろか口出しもできない状態にあるというのが実情なのだ。
しかし、その中国自身も大きな問題を抱えている。指導層や政府高官に蔓延する汚職と、経済成長に伴って拡大している貧富の格差が、もはや危機的状況にあると遠藤氏は言う。さらに経済格差の拡大に歯止めがかからないことも国内の不満を高める要因になっている。中国は鄧小平の提唱した富める者から先に富もうという先富政策によってこれまで格差を容認してきたが、今や人口の0.4%の裕福層が国内の約6割の富を独占している状況で、不満を持った貧困層による暴動が中国各地で年間20万件も起きているという。
今回の香港民主化デモとそこから見えてくる中国の動向、そしてその中国とわれわれはどう向き合うべきかなどについて、遠藤誉氏とともに神保哲生と宮台真司が議論した。
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今週の論点
・国が崩壊するほどの腐敗と「紅いノスタルジー」
・香港デモで、中国が妥協する可能性は“ない”
・中国の政治戦略と、日中関係の今後
・政治体制に考える、自由と尊厳
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