マル激!メールマガジン 2014年8月13日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第695回(2014年8月9日)
天下の愚策リニア新幹線に待った!
ゲスト:橋山禮治郎氏(千葉商科大学大学院客員教授)
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この秋にも総工費が9兆円を超えるリニア新幹線の建設工事が始まることをご存じだろうか。JR東海は現在、2027年の完成を目指して東京・名古屋間を40分で結ぶことになるリニア中央新幹線の建設計画を進めている。建設費用は5兆4300億円。最終的には2045年に東京・大阪間を67分で結び、トータルの建設費用は9兆300億円にも達する前代未聞の超巨大事業だ。「時速500キロ」や「名古屋は東京の通勤圏に」などは喧伝されているが、プロジェクトの中身やその問題点は必ずしも十分に周知されてきたとは言えなそうだ。
公共政策や大規模事業に詳しい千葉商科大学客員教授の橋山禮治郎氏は、今回のリニア中央新幹線計画は民間企業が実施するプロジェクトという位置づけのため、外野はとやかく言うなといわんばかりの進め方できているが、鉄道というものの公共性ゆえに、もし事業が失敗すれば、多くの市民が多大な影響を受けることは避けられないと指摘する。多かれ少なかれ、国民にツケが回ってくる可能性のある超大型事業が、国民不在のまま進んでいることに橋山氏は強い違和感を覚えると言う。
橋山氏は公共政策の成否は、目的の妥当性や経済合理性、そして環境適合性や技術的な信頼性によって決まるが、リニア中央新幹線は、いずれの要素にも疑問符がつくと言う。夢の超音速旅客機コンコルドは「マッハの旅客機」などとそのスピードが大きく喧伝されたが、高額な運賃や騒音問題を克服できなかったために姿を消していて、それと同じような末路を辿る可能性が高いのではないかと橋山氏は言うのだ。
非現実的で楽観的な見通しに基づいた利益の試算、不十分な環境アセスメントによる評価など、事業そのものにも問題は山積している。しかしそれ以前のそもそも論として、21世紀の日本の経済や社会の現状や、これからのわれわれのライフスタイルを考えた時、10兆円もの費用と高い環境負荷をかけて、時速500キロで走るリニアを建設し、東京と名古屋を40分で結んだとして、そのことにどれほどの意味があるのだろうか。
このプロジェクトは着工に必須となる環境影響評価が今、大詰めを迎えていて、既に環境相や国土交通相による意見書がJR東海側には伝達されている。このままいけば、今秋にも工事着工の予定だというが、今ならまだ間に合う。事業内容の合理性を今あらためて再検証し、国民的な議論に付した上で結論を出すべきではないだろうか。
ゲストの橋山禮治郎氏とともに、天下の大愚策になりかねないリニア新幹線の事業内容を今、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が再検証した上で、時速500キロで移動が可能になることの意味をあらためて考えた。
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今週の論点
・国民不在で進んできたリニア計画
・公共政策に重要な4つのポイントと、そのすべてを外しているリニア
・見過ごせない環境への影響
・日本の「土建国家開発モデル」は、なぜ変わらないのか
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