マル激!メールマガジン 2020年4月8日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第991回(2020年4月4日)
コロナ緊急経済対策は中小企業支援と失業対策に集中せよ
ゲスト:小幡績氏(慶應義塾大学ビジネススクール准教授)
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急経済対策について与党自民党などからは総額60兆円といった景気のいい話が乱れ飛んでいる。
新型コロナウイルスの感染を抑えるために経済活動が制約を受けたことの影響は大きく、シンクタンクなどでは今期のGDPが前年度比で20%以上落ち込むとの見通しを打ち出しているところも多い。強力な経済支援が必要なことは言うまでもない。
しかし、慶應義塾大学ビジネススクールの准教授で経済学者の小幡績氏は、政府の支援は倒産を防ぐための中小企業支援と、失業などで所得が減った人たちへの支援に集中すべきで、この機に便乗した人気取り目的のバラマキは避けるべきだと語る。
コロナ対策としての自粛要請などによって店が閉まっていたり、移動が制限されるために経済活動が停滞しているのだから、そこにカネをばらまいたところで、コロナ対策にはならないと小幡氏は言う。そればかりか、コロナとの戦いが長期戦になることが必至の情勢下で財源を無駄に消費することが、将来必要となる支援策の選択肢を奪う怖れがあるという意味で、二重にすべきではない愚策だと小幡氏は指摘する。
2008年のリーマンショックとは違い、現在はたまたまある期間、人々の行動を制約することで経済活動が縮小しているだけなので、コロナさえ解消すれば、経済活動は以前の状態に戻る。しかし、経済活動を制限している間に企業、特に中小企業がバッタバッタと潰れてしまったり、多くの労働者が失業などで路頭に迷ったり自殺に追い込まれたりすれば、コロナ禍が収束した後も、経済活動が元通りに復旧できなくなってしまう。そのため、経済活動の制限が解かれた時に再び経済が回り出せるように、現在のインフラを温存しておくための施策に集中すべきだと言う。
また、行動経済学が専門の小幡氏は、日本を含む世界の新型コロナウイルスに対する怖がり方は、コロナウイルスの毒性の度合いや致死率を考えると過剰に思えると指摘し、「人間は未知のリスクに対しては、これを過剰に怖れるか、過小に評価して無視するかのどちらかになる傾向がある」と指摘した上で、新型コロナウイルスについては文字通り新型だったため、過剰に評価する方に偏っているとの見方を示す。
無論、今日の日本にとって、新型コロナによる感染症の蔓延を押さえ込むことが最優先課題であることは論を俟たないが、そのために経済が致命的な打撃を受けてしまえば、結果的にコロナウイルスよりもより多くの犠牲者を生むことだって考えられる。ロックダウンによって経済活動を完全にストップさせなければならないような事態に追い込まれる前に、しっかりとした対策を打っておくことが重要になることは言うまでもない。
治療が病気より悪い結果を生まないためには、コロナ対策の名のもとにどこまで経済活動に制約をかけることが正当化できるのか。人々がコロナウイルスのリスクに過剰に反応してしまうのはなぜか。感染の広がりが収束した時、経済が再びV字回復を遂げるために、今、われわれはどのような経済支援を必要としているのかなどを、行動経済学が専門でエコノミストの小幡氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・コロナウイルスが“人類初の危機”というのはまったくの嘘
・バラマキは意味がない 倒産や失業の対策に注力を
・コロナ以前/以降で世界は変わるのか?
・ロックダウンしないことが最大の経済対策
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■コロナウイルスが“人類初の危機”というのはまったくの嘘
神保: 今回は新型コロナウイルスの問題なかでも、経済をテーマにしたいと考えています。緊急事態、ロックダウンという話に振り回されていますが、宮台さん、一連の動きで何かありますか。
宮台: 僕のゼミにベルギーから参加している学生がいますが、ドイツやフランスを含めて、ヨーロッパでは「三密」などという仏教用語みたいな話ではなく、「人との間隔を1.5メートルあけろ」というのが標準だといいます。いろんなところに列を作っている場合にも、基本的に警官が張り付いて、1.5メートル間隔をあけているか、ということを確認しているということです。このように、何を基準に行動すればいいのか、という目安を作らないとダメですよ。日本の場合、「夜は外出するな!」と言いますが、一人で散歩しているぶんには何も問題がないわけで。
神保: 要するに、特定のお店には行くなということなのでしょうが、具体的に言いたくなかったようですね。確かに、夜の外出がダメだと言われれば、散歩もダメなんだと思っている人もいるでしょう。
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