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5金スペシャル映画特集 ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか

2017/10/04 23:00 投稿

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マル激!メールマガジン 2017年10月4日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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マル激トーク・オン・ディマンド 第860回(2017年9月30日)
5金スペシャル映画特集
ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか
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 その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。6月以来の3か月ぶりとなる今回は、前半で解散総選挙や民進党の事実上の解党に揺れる政局を議論し、後半にこのロクでもない世界を描いた映画を5作品取り上げた。
 前半は民進の希望合流でポッカリと空いた穴は誰が埋めるのかについて議論した。今回は政治の立ち位置を縦軸に自由と再配分を上下に、横軸には市民参加と権威主義を左右に配置したマトリックスを描いた上で、その4象限の上で民進党の希望の党への合流がどこからどこへの移動を意味するかなどについて考えた。
 これは世界的な潮流でもあるが、日本の政治もいよいよ、再配分をしない権威主義、すなわち上記の4象限の右上の象限に政治勢力が固まってきてしまったようだ。問題は元々左下、すなわち再配分と市民による参加主義を謳ってきた民進党が、自民党と同じ右上に位置する希望の党に吸収されることで、左下、すなわち弱者への再配分を主張し、何事も政府主導で決めるのではなく、市民参加を促す象限に位置する政治勢力が事実上いなくなってしまうことだ。辛うじて社民党と自由党がそのような主張をしているが、如何せん政治勢力としては弱小すぎる。
 ちなみに自民党はかつては再分配を謳う権威主義政党だったが、小泉改革以降は小さな政府を謳い再分配に消極的な権威主義という意味で、右下から右上に移動している。また、共産党は再分配は主張するが、横軸では権威主義側に位置付けられる。左上の政府の権威も認めず、再分配も求めない象限はリバタリアンとなる。
 民進党の希望への事実上の吸収合併は、左下のいわゆるリベラル勢力と呼ばれる勢力が日本の政治から消えることを意味する。これは日本の政治にどのような影響を与えることになるかをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
 後半は、ロクでもない世界を独自の視点から描いた「サーミの血」「エル ELLE」「三度目の殺人」「砂上の法廷」「散歩する侵略者」の5つの映画作品を取り上げた。
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今週の論点
・損得勘定による野党再編
・安倍自民党と小池希望の党にはどんな違いがあるのか
・“社会から周辺化された存在”を描く映画たち
・「法外の真実」を描く二作と、人間を諦めた『散歩する侵略者』
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■損得勘定による野党再編

神保: 今回は第5金曜日がある「5金」の週です。今回も映画を取り上げよう、と話していたのですが、前半はさすがに、この政局の激動のさなか、その話をまったくしないのはよくないでしょうし、いわゆる一票の格差、投票価値の平等についてトンデモ判決があったので、ここで取り上げようと思います。解散事態の問題点については、先週(第859回「安倍政権の下で国の形が大きく変わっている」ゲスト:鈴木邦男氏)の議論をご覧ください。
 月曜日に予想通り、解散の表明があり、「希望の党」というものが立ち上がったかと思えば、民主党の前原(誠司)代表が合流を宣言し、民進党でも最終的に全会一致、満場一致になりました。これから一悶着、二悶着あると思いますが、1996年に旧民主党ができ、21年かけてここまでやってきた。確かに、政権をとって以降、民進党の抱えるスティグマは非常に重く、何を言っても聞いてもらえないところはありましたが、昨日できた党に、21年の歴史を持つ政党が身投げしたという状態です。しかも、負けが続いているとは言え、衆参合わせると100人以上の議員がいて、全国組織を持っている政党ですよ。昨日、これがわかった段階で宮台さんにメールしましたが。

宮台: 僕のリプライは「クズだわ」でしたね(笑)。今回は映画の話をしますが、この2年くらい、人間がクズになりつつあり、社会がクソになりつつある、という前提で話が展開するものが非常に多い。つまり、日本だけでなく、世界で国民国家を支えるとされていた前提がどんどん崩れていて、その結果、ブレグジットやトランプ現象など、政治の劣化として表れていますが、民主制が背後にあるので、政治家がクズになっているのだとすれば、それは投票している人間たちがクズになっているんだと。「クズ」というのを穏当に言い換えると、ここで繰り返しお伝えしている「感情の劣化」です。ポスト真実と言われる時代が、全世界的にシンクロナイゼーションを起こしていますが、これはデマゴギーに人々が騙されているということではない。つまり何が嘘か、真実かなんてことはけっこう分かっている人がいるのに、真実性に反応できず、例えば享楽になびいてしまう。

 

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