『Jodeci』(ジョデシィ)
DeVante(デヴァンテ)とMr. Dalvin(ダルヴィン)(2人は兄弟で主にサウンドプロダクションを手掛ける)、JoJoとK-Ci(2人も兄弟で主にヴォーカルを担当)の4人グループ。
<TSUYOSHI 評>
90年代始め、ご多分に漏れずBoyz II Menを聴いていました。
しかし程なくして聴かなくなりました。
Boyz II Menの向こう側にいる大好物のBabyfaceを聴いていただけだった事実に気付いてしまったからなのですが。
Jodeci。
もらった歌を歌うだけの”それ”とは違い、当初から彼等はオリジナリティに溢れていました。
ニュー・ジャック・スウィングの勢いを借りて、80年代の終わり辺りから多くの男性R&Bボーカルグループが誕生。
どのグループもホーシングやランニングマンといったNJS特有のダンスステップを踏みながらのデビュー。
今や当然の如くセルフ・コンテインド・バンドのMint Conditionも然り。
ともあれ、それぞれが個性的で且つ魅力的なグループは数々いたけど、その魅力を一番強烈に放っていたのがJodeciだったように思います。
歌とサウンドとビジュアルの絶妙なマッチング。
音楽的な側面から言えば、ひたすら強烈なヴォーカルのK-Ciと、おかげで一歩引いて聞こえてしまうが普通なら立派にリードを務められるJoJoのヴォーカル。
それらをまとめる、なんだかんだとてもマナーの行き届いたDeVante Swingのサウンドメイク。
なにしろDeVanteの音作りはとても説明がし辛い。
しっかり重くて、でも浮遊感があって。
当時めちゃくちゃ新鮮味を覚えたけれど、今聴くと実際はそれまでのR&B/SoulやHip Hopをないまぜにした、とても”good old”な感覚でサウンドを作っていたのかなぁとも感じたり。
というのも。
Jodeci3枚目のアルバム発売後のApollo Theaterでの彼等のLive(https://www.youtube.com/watch?v=axXdu2qvu7A)でDeVanteがただピアノを弾くだけのコーナーがあって。
そうです、Jam&Lewis曲が多め。
元SOUL’d OUTのShinnosukeの好き度合いには敵わないけれど、私もJam&Lewisがとても好きなもので。
DeVanteにもJam&Lewisの影響が少なからずあるのだとすれば、なんか嬉しいなぁ~と。
なんとなく白人のお客さんに媚びてなのかRichard Marx弾いたりするけど。
後にRichardはLuther Vandrossの『Dance With My Father』を作ってくれたから、それはそれで良しとする。
K-Ciの歌について。
彼も唄うたいとして様々なシンガーの影響は受けているんでしょうが、やはりここはBobby Womackでしょう。
K-Ciが『If You Think You’re Lonely Now』をカバーした時は(https://www.youtube.com/watch?v=PpXcjHqCU3g)、Bobby Womack好きの私としてはそりゃもう感動したものです。
R. Kellyですらその当時はGuyのAaron Hallをフォロっていた時期なのにもかかわらずですよ。
K-Ciは今や相当濃いぃ歌を歌うけれど、基本デビュー当時からスタイルは一貫しています。
カッコいいです。
JoJoは控えめながらも2ndアルバムからはリードも積極的に歌っています。
その後もお兄ちゃんであるK-Ciの背中ををひたすら追っかけて歌っていました。
K-Ci & JoJoを始めて、徐々に歌も安定し出しましたし。
そんな中。
Babyfaceとその兄弟でAfter 7のメンバーのKevon EdmondsとMelvin Edmonds、それに加えてK-Ci & JoJoの5人で”Milestone”と称しての『I Care About You』(https://www.youtube.com/watch?v=vWPhpHdqzyE)。
K-Ciも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれますが、ここでのJoJoは存在感があっていいですね。
超ハイトーンヴォイスのKevon Edmondsとバッチバチにやりあってます。
しかし、ようやく兄の背中に追いつきそうになった頃に残念ながら調子を崩してしまいました。
今現在はぼちぼちやっているようですが。
またいつか本調子のJoJoの歌を聴きたいです。
…そういえばDeVante Swingの弟のMr. Dalvinもメンバーにいましたね。
今年の初め頃にDeVante Swingとその弟子的な存在だったというTimbalandが一緒にスタジオに入ったとか言われてました。
いい曲が出来上がるのであれば、いちファンとしてはまた4人でやって欲しいと思ったりもします。
<西崎信太郎 評>
R&Bの1つの華を言えば、多重なコーラスを武器としたボーカルグループの存在。で、近年R&Bシーンで言われ続けてしまっているのが「ボーカルグループ冬の時代」。大袈裟じゃなく「もう春は来ないのではないか?」と思ってしまう程に、長らく続く冬の時代。もう氷河期くらい言っても良いかもしれないです。時代を切り取ってみてみると、ミレニアムを迎えた2000以降、R&B史にその名を残したボーカルグループ(今回のお題から男性グループのみに話題を絞っちゃいますが)と言えば、B2Kくらい。マインドレス・ビヘイヴィアやデイ26など、確かにシーンに華々しく登場するボーカルグループもいるにはいるのですが、成果が乏し過ぎる。というか、インパクトが弱過ぎる。しかし、現在のR&Bシーンにおいて、鎬を削り合っているボーカルグループは水面下には沢山いる事も事実。その中にはしっかりとした実力を持つグループも沢山います。
じゃあ、何で「ボーカルグループ冬の時代」と呼ばれているかというと、それは歴史をひっくり返してしまうような天才達が続々と登場した90年代シーンと比較してしまうから。不運だなんて言ってしまったら、現在頑張っているボーカルグループ達に失礼になってしまいますが、しかし改めて90年代のR&Bシーンに登場したボーカルグループの衝撃は凄かった。その筆頭がボーイズⅡメン、そしてもう1つのグループがジョデシィ。
ご存知、ボーイズⅡメンと言えば、今なおコーラス・グループのトップに君臨する現役バリバリのキング・オブ・ボーカルグループ。ボーイズⅡメンのコンセプトは、スーツを身に纏って上品な立ち振る舞いで華麗なコーラス・ワークを披露する正統派なグループ。日本でもデビュー時から大ファンの方々は多い事でしょう、R&Bの枠を超えた数少ないボーカルグループですね。そのボーイズⅡメンに対抗して登場したのが、ジョデシィ。アプローチは全くの正反対。当時「黒人の男が歌を歌うなんてダサい」という風潮を一掃したのが、彼らのファッション。ラッパー顔負けのビッグ・サイズのファッションを身に纏い、男気溢れるストリート感を全面に押し出し、このスタイルがまんまと大ヒット。R&Bのイメージを180度変える事が出来た、R&Bの歴史上最も偉大なグループです(ジョデシィのA&Rは、後にメアリー・J・ブライジ、ビギーを大ヒットさせる若かれしディディ)。
ジョデシィの真骨頂と言えば、その絡みつくような濃厚さを強調したセクシーなミッド・テンポのR&Bサウンド。"Come & Talk To Me"、"Freak'n You"、"Cry For You"、"Get On Up"、生み出された名曲は数知れず。このジョデシィのサウンドをコントロールし、クリエイトしてきたのがメンバーのデヴァンテ・スウィング。正にジョデシィの心臓と呼べる人物。ご存知の方も多いかと思いますが、このジョデシィのメンバー2人が後にR&Bデュオ、ケイシー&ジョジョを結成するわけでして、その流れからジョデシィを再評価する方も多いでしょうが、ジョデシィと言えば、とにかくこのデヴァンテ・スウィング。彼のグループと言っても過言ではない程の圧倒的な存在感、そしてデヴァンテ・スウィングのファンは恐いくらいに熱狂的(ビクターから日本デビューもしているインディーズのR&Bシンガー、デヴァンテ。たまたまデヴァンテ・スウィングと同じ名前だっただけに、ジョデシィのファンからバッシングを受けたと語っていました)。個人的にこのグループで最も印象的な曲と言えば、若くして亡くなったレジェンド、2パックとコラボした"How Do You Wand It"。発表された楽曲はフューチャリングがケイシー&ジョジョですが、当時ライブでジョデシィとコラボした映像がYouTubeにアップされております。これ、伝説ですよね。もう二度と見れないですしね(その動画がコチラ → https://www.youtube.com/watch?v=qHNhnzWEMuY)。
ジョデシィというグループがもし存在していなかったら、って考えるとちょっと恐いくらい。それだけ多大な影響を与えてくれたジョデシィ、本当に偉大なグループでした。
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