大阪府警は十一月三十日、詐欺容疑で山口組ナンバー4の橋本弘文統括委員長を逮捕した。昨年三月、ヤクザの利用を禁止しているゴルフ場で、身分を隠してプレーしたという疑いだ。
暴排条例が全国で整備される頃から、この「ゴルフ場詐欺事件」での逮捕者が相次いでいる。だが、プレー代はきちんと支払われており、他人に迷惑をかけるなど、ゴルフ場への「被害」はない。利用約款に暴力団排除条項を記載しているにもかかわらず、「身分を隠した」というのだが、利用者がこれを示されることはほとんどなく、身分、職業を尋ねられることもない。
このため、その大半が不起訴となっており、二代目弘道会の竹内照明若頭も一審で、カード詐欺では有罪とされたが、ゴルフ場詐欺は無罪となった(控訴)。これまで有罪判決を受けたのは、清水武・二代目岸本組組長を含む四件のみで、岸本組長を含む山口組直参六人が逮捕された事件でも、いずれも不起訴となっている。
さて、橋本統括委員長の事件では、十二月三日に大阪府警が総本部を家宅捜索している。多数のマスコミが取り囲む中、捜査員は段ボール箱七つを手にして引き揚げていったが、ここには府警のある「戦略」が見え隠れしているという指摘がある。
「橋本統括委員長は、島田紳助が昨年、芸能界を引退した理由となった“密接交際”の相手として話題になり、橋本統括委員長とともに今回、二人の橋渡しをしたとされる元ボクシング世界王者の渡辺二郎が逮捕されている。
ヤクザの大物というだけでなく、紳助問題を想起させることで話題性を作り、暴排機運を高めようとしているのではないか」(事情通)
いずれにせよ、これで今年逮捕された山口組直参は延べ二十五人となり、過去最多の一昨年と並んだ。当局の山口組頂上作戦は、さらに猛威を振るいそうだ――。
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通信時報
通信時報編集部
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